山奥の集落、霞門村で生まれ育った優。彼は親の借金を返すべく村の大きなごみの最終処分場で働いていた。希望のない生活を送る中、幼馴染の美咲が村に帰って来たことで生活が変わり始める。
「この村に必要な人間なんだよ?」
霞門村が抱える闇が次々に明らかになっていくので、終始重たい雰囲気が続く。
悪役は複数人いたが、皆完全な悪役ではなくそれぞれ事情を抱えていることも印象的で、集団というものの恐ろしさを感じた。
ラストの対比も見事で、観終わったあとは複雑な気持ちになった。
劇中で邯鄲の夢について美咲が語るが、優こそが邯鄲の夢に陥っていた張本人。美咲に再会してからが夢の中だと思っていたが、穴から聞こえた音はまさに邯鄲の夢の中であることを示唆していた様にも思える。
面を被り、同じ方向を向いて進む不自然さ、不気味さ。それに加え、古き良き能とゴミ処理場が共存する異様なこの村の光景は、現在の日本社会そのものなのかもしれない。