lyeうさき

ヴィレッジのlyeうさきのレビュー・感想・評価

ヴィレッジ(2023年製作の映画)
4.8
この作品が、作中で述べられていた能の効果を持つことは言うまでもない。だからこそ、
小さな共同体の中で何かを抱え込んでいる人には響くと思う。
amazarashiさんのコラボ動画を見て刺さった人なら尚更。
村という共同体、会社という共同体、学校という共同体の中で。「犯罪者」は、「よそ者」に言い替えても良い。

曲「穴を掘っている」のような主人公が、夢を見て、落ちていく。その穴は夢への誘いであり、将来入る場所。夢の中では夢と気付かない。
醒めることが自明であるが故に緊張感が抜けなかった。

あえて言うならば、村人たちと自然の描写が少なかったけど、主人公からしてみれば周りは無視するに限るので、没入感を増す効果はあったのかもしれない。悪者のはあのジャイアンだけではないはず。

三年前から田舎で暮らしている私の共感ポイント。
・ジャイアンは昔相撲をやってたのでは。
・一部強者が全て。
・飲み会といえばこの店、ちゃんとした就職先といえばこの会社、選択肢がない。
・国からの給付金、交付金がないと存続できない。
・都会から戻ってきた、やってきた女性に群がる。
・テレビに映れば仕事中でも皆で見る。
・障がい者のこと。
・パチンコ依存、アル中の多さ。滞納者も。
・やくざとの関係。
・観光頼み。
・全員参加の祭り。
挙げ出すとキリがない。
日本人にしか描けない、ありのままの「日本の村」でした。
そこに属せない人たちに一生寄り添ってくれる作品。私はBlu-rayを買います。