C級スリラー(ホラー)をレビューする、Scavengerシリーズ第4界。原題「Muse」ギリシア神話で知的活動を司る女神ムーサ。英語名ミューズは時代と共にスピリチュアルな印象が薄れ、性的魅力の女性と言う意味に変わる。そんな事より昭和感溢れるジャケ写はどうよ?(笑)。AmazonPrimeVideoで0円鑑賞。
主演Erin Cahillがミューズかはご覧頂くとして(笑)。イントロダクションは、ある田舎町で女性を狙う連続殺人事件が発生。犯人は被害者の体にインフィニティの焼き印を残す奇妙な癖が有る。FBIが捜査に乗り出すが、シングルマザーのアマンダに焼き印を押された女性の写真が送り付けられる。息子が誘拐され犯人は粗暴な元夫と思われたが・・・。
本作はAltius Entertainmentと言う、流石の私も聞いた事が無い製作会社。カナダ産でアメリカで深夜にひっそり放送されたTVムービー、Filmarksによくジャケ写が有ったなと感心する地下レベル。イカれたサイコパスのスリラーだと勝手に解釈して、無名スタジオにも逆に興味をそそられたが、FBI捜査官がイケメン(と言う設定)、Lady of Leisure、死語で言う有閑マダムが好きそうな2時間サスペンス。
超低予算でエフェクトやカメラのアングルが明らかに素人レベル。George Erschbamer監督で言えば前作「サブジェクトX 消えた被験者」同レベル。下手なスリラーよりも丁寧に作られてる印象、無名ライターの作品にしては、野暮ったさは感じるモノの、伏線の回収も悪くない。但し、登場人物を見ただけで犯人が丸解りと言うのは解せない。
脚本が破綻しないレベルなので、巡航ミサイル並みの低空飛行で良ければ、安定の面白感は有る。TVムービーなので、派手なアクションを期待するのは野暮だが、プロットであるインフィニティの焼き印との関連付けがナッシングなのは、スリラーとして無意味と言われても、弁解の余地はない。トリックの捻りの無さにも程が有る。
犯行動機もオブセッションとは拍子抜け。本作に限らないけどサイコパスを描く時、謎の部屋に壁一面にターゲットの写真を貼るとか、サイコ・スリラーの最高傑作にしてカニバリズムを描いた原作が、アカデミー作品賞に輝いた「羊たちの沈黙」1991年から何年経ってると思うのか。このシーンを今まで300回は見てると思うが(笑)、ストーカーの描写が昭和の世から何も進歩してない。
オブセッションのお決まりで、何であんな旦那と結婚したのか意味不明。そして必ず元妻とヨリを戻そうとして事件が起きる。スリラーの常套句で露骨なミスリードが分かり易く過ぎ、結末は大体同じパターン。ソレを安心して観てられると言う寛大な心の方には良い作品かもしれない。
C級スリラーの犯人役は大根役者が多いけど何故だろう?、お暇なら暇潰しに為るかも。