3億人の会員と5兆円の売り上げを誇るNetflixの次の一手は、アカデミー作品賞狙い、ではなく利益還元祭として製作当時、過去最高の製作費で創られた。Netflix映画。
休養中のRyan Goslingが超高額なギャランティで復活。当初「キャプテン・アメリカ」Chris Evansの主演が「思いっ切り悪役をヤッてみたい」仰るので攻守交替。日本で一番人気の有る女優(笑)レビュー済「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」Ana de Armas。監督はマーベル立役者Joe RussoとAnthony Russo兄弟。要するに考え得る最高の布陣。
原作もテクノスリラーの大御所「レッド・オクトーバーを追え」Tom ClancyのJack Ryanシリーズを引き継いだMark Greaney著「暗殺者グレイマン」。Gray Manとは人目に付かない男、ハヤカワ文庫を読んで驚いたのは原型が殆ど残って無い。緻密なプロットとは程遠くジェイソン・ボーンとは真反対「大量の火薬で大爆発」Michael Bay顔負けのベタで大味なアクション。原作に無いシーンのオンパレード、誰が許可したん?。
オープニングから暗殺ミッション。花火発射場の次は輸送機の戦闘。オペラ座の大襲撃。路面電車で格闘とカーチェイス、最後は一騎打ち。絵面はカッコイイが、シチュエーションは意味不明、リアリティも無く説得力もない。アベンジャーズの監督に何を期待してるんだと言われソウですが、映画としてコレで良いんでしょうか?。
Netflixらしい人種戦略。主演は白人ですが様々な多様性に言及。Netflixは主要な言語を網羅して配信するワールドワイド、スパイ映画は格好のターゲット。Disney+の真田広之プロデュース「SHOGUN 将軍」アメリカで大ウケしたシナジーも期待。私は京都人ですがSHOGUNは京都の東映スタッフが真田広之から呼ばれてエミー賞とゴールデングローヴ受賞。鎖国してアニメやアイドルばかりの邦画は滅ぶ日も近い。
多様性の象徴がDhanush。私はカレーは大好きでココイチに月イチで行くが、インド映画は油っこくて苦手。Disney+が猛威を振るうインド市場を強く意識。女性キャラクターもヒロインポジションな存在が居ない。父親の影響で「007」見て育ちましたが、ボンド映画に恋愛要素はイランよと言う今時の方には本作のサジ加減は丁度良い?。
悪役Chris Evansは予想通りノリノリ。アメリカ国内を意識して白人至上主義者を皮肉る。良い人を演じ続けるのは辛いのかな?。日本の寅さん渥美清さんも本来は物静かな方で役作りには相当悩んだとか。Ryan Goslingの役はBrad Pittに断られて決まる。予算通りド派手な展開で皆さんのレビューを見ると満足度が高いのも頷けるが、私は敢えて背を向けて(笑)、映画としての中身はスカスカ、語る事が此れほど少ない作品も珍しい。続編も期待されたが、Netflixの金庫に2億$有れば見れるかも。
Netflixの救世主は破格の予算が必要なブロックバスター、じゃ無いと思う私は少数派(笑)。