カルモチン

ファンタスティック・プラネットのカルモチンのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

強大なものに支配される弱者、
たとえ積み上げることが難しくとも、破壊するのは容易いのだ。































ドラーグ人に支配された人間達がやがて独立し、反旗を翻す物語。……というとスタイリッシュなようだが、実際は大分ゆっくりと、淡々としたテンポで進んでいく。
ドラーグ人の学習システムを盗み、めいっぱいの知識を蓄え、でも結局は武力を用いるところが人間らしい。ドラーグ人には青い血が流れてるんですね。
意味不明な単語の羅列、想像もしないような奇妙な生物達、無感情なドラーグ人の赤い瞳。とにかく理解するのに時間がかかる。何か悪い夢を見ている感覚。(褒め言葉だ)
もしかしたら近い将来、人間も犬や猫のペットに支配されているかもしれない、とすら思わせる、非常に芸術性の高い作品。

短編・かたつむりの方が意図が分かりやすいか?
まさに手塩にかけて育てた野菜達が突如として現れた強大なもの(かたつむり)に食い荒らされ、更に彼らは野菜だけでなく生活すらも蝕んでしまう。植民地支配と似たものを感じる。市民が襲われるシーンであえて女性ばかり狙っているのもそういう発想があっての事なのだろうか?
ラストシーン、老人は今度は人参を育て始める。やっぱり文字通り手塩にかけて育てるのだが……ちらりと映るのは……ウサギ……?
「どうして失敗したのにまた同じことをするんだ」と言いたくなるが、果たして老人が悪いのだろうか?植民地支配の例でいえば、誰も彼を責められないはずだろう。
強大なものに出会った時、目先の弱者を攻撃したがる人間心理に付け込んだような、ゆったりしたテンポと裏腹に鋭い作品だと思う。
カルモチン

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