ブリリア短編。
フィンランドの辺りが雪一面な集落生まれの少女が母と幼い弟のためにミルクを買いに行く。まさにテレビ番組の『はじめてのおつかい』だ。しかし私はこの番組でスキー板を履いて買いに行くおつかいをみたことがない。
以下、ネタバレ含みます。
少女がミルク代をお忘れてしまうアクシデントが起こるのだが、店員が立て替えてくれておまけにヘアペンもあげる。これはおつかいをする少女の「献身」に触れて、店員も「優しさ」を贈る素晴らしい相互扶助の描写である。
おつかいが済んで帰路につくのだが、突然に空襲ベルが鳴り響く。少女がおつかいにいった街に爆撃機が襲来してくるのだ。彼女は母から渡されていた「白いブランケット」で雪と同化して身を隠す。こんなに生が逼迫しているおつかいはみたことないが、それが彼女の生きる現実だ。
無事、彼女は危機を免れたのだが、どうやらストックがないらしい。なんだか絶望感が漂うが、母はきっと希望の灯りを照らしてくれる。