セイロンという仏教信仰の島を撮影したイギリスのドキュメンタリー。1934年作。プロデューサーにジョン・グリアスンの名前がある。ドキュメンタリー映画史の本とか読んでたら出てくる名前だ。ぼんやりと認識している。ヘタウマ(?)で馬鹿でかい仏像がいくつも写る。戦前の白黒映画に写る巨大なもの、たとえばウィリス・オブライエンのコング、フリッツ・ラングの『ニーベルンゲン』で出てきたドラゴンなどがもつ不思議なリアリティ、不気味な実在感は何なんだろう。技術の巧拙とは関係のない「本当にいる」感。大昔に撮影された映像なのだから怪物がいてもおかしくない。戦前特撮映画の巨大生物はそう思わせるなにか神秘的なオーラを纏っている。『セイロンの歌』の仏像を見て思ったのもそういう「本当にいたんだなあ」という気持ちで、しかしこれはドキュメンタリーだから、それはそうなのだが、失われたものによってしか呼び起こされないリアリティがある。ノスタルジーとも違う何か、確かにそこにあった、という実感。しかし大仏は横に寝そべってるのがあったりして余計に存在感がある。西洋の巨像で寝そべってるのあるんだろうか。