MasaichiYaguchi

手のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

(2022年製作の映画)
4.0
日活ロマンポルノ50周年を記念し、気鋭の監督3人がそれぞれ作品を手がけるプロジェクト「ROMAN PORNO NOW」第1弾は、山崎ナオコーラさんの小説を原作に、松居大悟監督がメガホンをとり、20代の男女のリアルな姿を描き出す。
中年男性の写真を撮ってはコレクションするのが趣味のさわ子は、これまで付き合ってきた男性も年上ばかりなのに、なぜか父親とは上手く話せず、ぎくしゃくとした関係が続いていた。
そんな彼女が、同年代の同僚・森との距離が縮まっていくにつれて、次第に心境に変化が訪れる。
「ロマンポルノ」という冠が付くと、リアルなラブシーン、性描写のある映画として身構えたり、中には敬遠してしまう人もいるかもしれないが、松居大悟監督がメガホンをとっているので、「ちょっと思い出しただけ」の延長線上に本作はあるような気がする。
さわ子がおじさんフェチなので、我々おじさんは本作を観ていると、励まされているような、癒されているような気分になる。
彼女のおじさんフェチの背景には、実の父親と上手くいっていない部分が大きいと思う。
終盤、様々な切っ掛けによってさわ子と父親との関係に変化が訪れる。
ラストでの感情を溢れさせるさわ子に、何とも言えない共感と温もりを感じます。