Jun潤

手のJun潤のレビュー・感想・評価

(2022年製作の映画)
4.0
2022.09.24

松井大悟監督×金子大地出演。
成人向け映画ジャンル「日活ロマンポルノ」誕生50周年を記念した『ROMAN PORNO NOW』第一弾。
これまたリアルな男女の恋愛か、一筋縄ではいかない人間模様を描いていそうな作品群の予感。

都内在住のOL、さわ子は20才の頃からおじさんが大好き。
おじさんが多い世の中を渡っていく上で、ぶりっ子を処世術と称しつつ、おじさんが何を考えているのか、どんな世界を見ているのか、気になって仕方なかった。
25才のある日、昔付き合っていたおじさんの一人が亡くなったことをきっかけに、他の元カレおじさん達がまだ生きているのか、さわ子は一人一人会って確かめることにする。
最後に会った、学生時代に付き合っていて、現在既婚者の同い年の元カレと行為に及んだことから、さわ子の心境に変化が起きていく。
職場でしきりに話しかけてきてくれていた森の送別会で彼とキスをしたことから、手の届く人を好きになりたいと願い始める。

金子大地エッロォォ!!
序盤のチャラついた態度から女性慣れしていることは伝わってきましたし、キスや行為中に逐一確認をとることからはひよっているというより、女性に対する優しさの方が個人的には強く感じました。
そして行為中女性の耳元で囁く低音優ボイスがもうどエロいどエロい。
女性からしたらこんなん嬉しいんじゃなかろうかと考えてしまうくらいには色気ダダ漏れでした。
序盤で描かれたように、およそ一般的でない側の性癖を持っていたさわ子が、手の届く人に対してちゃんと「好き」と伝えられるくらいには、金子大地演じる森に夢中になっていたし、森もさわ子のことを大事にし続けてくれるんだろうなぁと、、、

、、、思わせておいてそんなことはなかった!!
金子大地が演じるのはやっぱりクズだったー!!
さわ子を主軸に展開していくストーリーの中で、彼女に対して明確な救いとなる結末が用意されてるんだろうなと思うじゃないですか…。
森もさわ子に「好き」と伝えていても、彼女の方に戻ってプロポーズをするあたり、さわ子に対しては“本気“ではなく“浮気”だったんだろうなと…。

その“浮気”がバレるきっかけになったのも、今作で特に描写が濃かったのも、題名にある通り『手』でした。
「手は嘘をつく」と、さわ子は言いましたが、本当ですかね。
むしろ「手は嘘をつけない」からこそ、彼女との行為中にもさわ子に対する気持ちが出てしまったのではと個人的には思います。

そして心は手から伝わるんだと思いました。
頭に顔に腕に胸に脚に手が触れ、そして手同士を合わせることで、互いの心が通じ合っていたんだと思います。
それは序盤から描かれていた、おじさん達の手からさわ子に伝わる想い、その手を触れて伝わるさわ子の想い、そして森とさわ子が一緒に重ねてきた行為の手に託した心。
ここは違う作品の言葉を借ります。
大人気漫画『BLEACH』より、志波海燕の台詞『心ってのはここ(掌)にあるんだ。俺とお前がふれ合うとき、心は初めて俺達の間に生まれるんだよ。』
やっぱり師匠は天才だ。

設定や価値観が令和ライズされていても、今作はれっきとしたポルノ映画、やはりベッドシーンの出来がハンパなかった。
それは単にエロいというだけでなく、全年齢向けの映画にはできない、台詞の応酬やシチュエーションの構成だけでは決して表せない、究極の愛情表現がベッドシーンには出来るんだと感じました。

さわ子は手の届く人を好きでいたかった。
さわ子にとっておじさんは、街で見かけて写真に収めて、アルバムにして愛でて、時々会える、手の届かないような存在だった。
さわ子が付き合ってきたおじさんの中には、家庭を持っている人もいた。
でもそんな不完全さもまた、さわ子にとっては愛おしいところだった。
しかし実際同じことを、手が届く人にされた時には、さわ子も悲しくなってしまう。
おじさんにも森にも会わないことを決意した日、自分をいないものとしているとばかり思っていた父と久しぶりに話した。
父もまたおじさんで、おじさんを手の届くところに感じたら、それまで貯めてきたおじさんの写真も、おじさんからもらったものも全て捨てた。
まだ25才、さわ子の人生の行く末はこれから決まっていくのでしょうが、次はどんな人を好きになるのか、とても気になりますね。

個人的にはさわ子が語るおじさんの好きなところに、僕が最近心配になってきたところがたくさんあって、そんなところを可愛いと言う女性がいるのかもしれないと思うと、非現実的かもしれませんが、救いになりますね。笑

お姉よりもおっぱいおっきい妹ちゃんがなんかリアル。
Jun潤

Jun潤