TT1112HH

遠いところのTT1112HHのネタバレレビュー・内容・結末

遠いところ(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

地元の先行上映で観た。平日の8時過ぎにも関わらず150席ほどの劇場は4割は埋まってた。口コミかリピーターか関心が高いと感じた。
主人公は17歳で子持ちで碌に働かず金をせびる亭主がいて18才未満を売りにするキャバクラで日銭を稼いでいる。夜の仕事しか知らない。夜間は祖母に子供を預けているが同年代の同僚とついアフターやらで朝帰りする為祖母の当たりは強い。父親も味方ではない。

楽しい話ではなかった。あらすじ通り悪い事が重なっていく。
彼女にしたらこれ以上何を頑張ればいいのか判らない。
冒頭主人公は客達に愛想笑いをしている。そのぎこちなさに、まだ子供なのだと気付かされる。店を出て同僚とどんちゃん騒ぎから海ではしゃぐ。店にガサ入れあり18才未満の3人は裸足で逃げるが切羽詰まってる筈なのに何故か楽しそうだ。部屋に帰ると金がない現実が待ってる。
主人公は感情を出すのが苦手のようだ。
殴られて顔が血塗れになっても友だちと笑い合ってた。
タフだなと思ったし笑わなきゃやってられない諦念も感じた。

一線を越えた時から
彼女は仕事以外はずっと泣いていた。泣き顔は出さず項垂れて背中と嗚咽。

それが子供と離された時から泣き顔を映し始めた。
別れを経験するたび泣いた。

正直シングルマザーになった方が楽なのにダメ亭主の帰りを待ってた。未成年でも妻なんだから示談金を工面するのは前科者にしては行けないという周りからの無言の圧力もあった筈。
これがゆいまーるの実態かもしれない。彼女は本当はずっと泣いてもがいていた。

途中児相の担当者が「仕事頑張ってるのもわかるけど」と前置きして話すが、彼女が何を生業としているのか判って言ってるのか?
大人達の薄い「大丈夫?」は主人公には響かない。

終盤のありえない展開。
主人公は手引き屋の男をタコ殴りし、帰り道で保育園の前で赤ん坊を抱きしめて倒れ込む女をみかけ、児相に忍び込み我が子を取り戻す。
もしかしたら主人公の妄想かもしれない。
子供をさらって遠いところに一緒にいこうとするけど出来ない。
海に少しずつ進みながら子供の顔が水中に入らないように持ち上げる。高い高いをしてあやしてるようにも見える…でも彼女の腕では高く上げられなくて、それ以上進めなくて泣き出してしまう。
胸が痛くなるラストだった。

なぜ沖縄を舞台にしたんだろう。
若年層の貧困はここだけじゃない
のに。
都会も田舎もちょっと足をのばせば海もあるから撮りやすいのかな
劇中でも
ここは狭い社会なんだ
と言ってたっけ。

全体的に演技はかなり抑えて淡々と進めているがその分音楽で表現してる
時々うるさく感じたのが惜しかったかな。

7月7日から本土でも上映始まる。
TT1112HH

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