正直、稲垣吾郎が主演という時点でほぼ観る気は無かったけど、今泉監督の新作だし、といことで観た。
結果、これ稲垣吾郎じゃないと駄目だったなぁ!
稲垣吾郎の魂のこもってない演技が嫌いだったけど、逆にそれがこの市川茂巳役にどハマりで素晴らしかった!
妻の浮気に感情が動かない自分にショックを受けてるけど、どこか他人事で淡々と話す茂巳のセリフがいちいち自分が普段考えて悩んでる事とリンクして、後半の夫婦の会話で涙腺が崩壊してしまった😭
でも、この映画にそんな悩みの解決方法なんて無い。
昔、よく、こんな自分が嫌で自分を変えたくて、自己啓発本や成功者のサクセスストーリーなんかを読んで悩みを解決しようとしたけど、「結局、成功する人は成功する才能があるんだな。オレには無理。」って思ってしまって逆にまた悩んでしまうので、この手の本が大嫌いになった。
「結局、何も変えられず、成功もして無いけど、なんとか生きてます。」
そんな人の話しが聞きたかった。
この映画はそんな自分の希望を叶えてくれた。
成功する話しなんていらない、ハッピーエンドもいらない。
ただ、「こんな人間もいるんですよ。」っていう存在意義が欲しかっただけなのかも知れない。
街の片隅にひっそり暮らす何もない空っぽの自分を今泉監督に見つけてもらった気がして心の霧が少しだけ晴れた…かな。