砂利川権兵衛

ザ・ミソジニーの砂利川権兵衛のレビュー・感想・評価

ザ・ミソジニー(2022年製作の映画)
4.1
奇妙な事件。地獄に繋がってるという洋館。スクリーンの不気味な映像。歴史の裏で暗躍するカルト教団。作品を構成する全ての要素が不穏な空気を醸成し身震いした。虚実のあわいが溶け合う茫洋としたラストが鑑賞者を得体の知れない場所に攫う怪作。

念で攻撃してくるカルト教団との魔法陣を使った攻防、イノシシ駆除棒による格闘戦、堕胎した子供の実体化した幽霊(?)の爆発&首斬りなど中盤以降はひっちゃかめっちゃか。『霊的ボリシェヴィキ』に『女優霊』のクライマックスのドライブ感を足してそのままアクセルをベタ踏みしたような勢い任せの展開に唖然とするなど。マジで何なんだよこの映画。

「『女優霊』のクライマックスのドライブ感」というのは、それまでの静的な恐怖演出をかなぐり捨てるような過剰に動的な展開——いよいよ姿を現した幽霊が柳ユーレイを襲う件のことを言ってるんだけど、静と動のギャップの凄さは余裕で『女優霊』を上回ってると感じた。