グルメとワンシチュエーション・ホラーのミックスという発想に惹かれる。孤島のレストランを予約したうろんな客たち、カリスマシェフ、不気味な従業員たち……コースが進むにつれて、どんどん不穏になってくる。
と書けば面白そうだし、実際なかなか引っ張るのだけど、カメラが魅力的でなかった。冒頭の船に乗るシーンからして、なぜか高陽感に欠けるし、役者をキレイに撮れているのかも疑問。
レイフ・ファインズ扮するシェフの真意というか、目的がついに明らかになったとき、やはり無理があると感じてしまった。いくらなんでもハチャメチャです。説得力がない。
レストランの高級感が剥げ落ちて、安っぽくなってしまうんですね。
それにしても、宮沢賢治『注文の多い料理店』を思い浮かべたのは、自分だけではないはずだ。