新型ウイルスによるパンデミックに陥った日本を描くという素材はとてもわくわくさせてくれるのだが、安いメロドラマみたいなヒューマンドラマや演出にイライラする。またリアルさを求めたい割にツッコみどころが多すぎて結局面白くない。
主人公の医師とWHOのメディカルオフィサーのヒューマンドラマが挟まれるのだが、悲しいシーンでは雨が降るという安っぽい演出が連続する。そしてWHOのメディカルオフィサーがウイルスで亡くなるというお涙頂戴な予定調和に陥る。みんな血まみれになって亡くなるのに彼女だけはきれいな状態で亡くなるのだ。そして医者の彼氏は雪の中ポツンと生えているリンゴの木に向かって泣くって…ご都合主義、安っぽい演出も大概にしろと言いたくなる。
そして肝心のリアルなシュミレーションのようなパニック描写もないがしろ。怖いのは患者が壮絶に亡くなる描写と字幕テロップだけ。医者や登場人物たちはことごとくマスクをしないって予防する気が本当にあるのかと疑いたくなる。他にもツッコみどころ満載すぎてイライラする。
こんな中途半端な作品を見るぐらいなら、アウトブレイクかコンテイジョンを見た方が有意義だ。