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イコライザー THE FINALのdemioのレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
1.0
中学生のころ家族が観ていたからという理由で同じテーブルで消極的に観ていたドラマ『ミセスシンデレラ』の最終回予告のとき、いくぶんシリアス寄りなラブストーリーのドラマなのに急にとんねるずのみなさんのおかげですのような光沢ゴシック体フォントで大きく「最終回 ローマロケ敢行」と出て、目を見開いて驚いた記憶があるが、つまりなぜ驚いたかというと、海外ロケという派手な予算の使い方をみなさんが応援してくださっているこのドラマに我々フジテレビはぶち込みましたという「お金の使い方の報告」を、まるでシャンパンを開けたホストクラブの喝采コールのように届けてきたことに驚いたのであり、だって「お金を使う」というのはただの局の台所事情であり、おもしろいものを作るという品質実現のための数ある一手法にすぎないはずなのに、それがすでに祝祭を確定しているようなメッセージの届け方に「それ視聴者に関係ねえだろ」と強烈に思った。

それとまったく同じことをずっとこの映画にも思っていた。ないし、ああ、『ミセスシンデレラ』の最終回だ、と思いながら観ていた。
イタリアを舞台とすることに対し、当然観客が抱く「なぜイタリアなのか」の問いに(悪役を務めるカモッラが西欧文明の法外の悪を示すほど強烈さを持った時代はとっくにすぎている)何の答えもないまま弛緩したショットが2時間陳列され、ただ「イタリアロケ敢行」という光沢ゴシック体フォントをてらてら輝かせる以上の意味をそこに到底見出し難い映画だった。
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