demioさんの映画レビュー・感想・評価

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セガvs.任天堂 Console Wars(2020年製作の映画)

2.5

アメリカでメガドライブが一時的に任天堂を凌駕したのは、どちらかというと卓越したマーケティング屋たちを重役にヘッドハントして行った広告戦略のおかげだったという身も蓋もない解説のドキュメンタリー。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

2.5

物理学者が(ないし理論家)が、社会に供する成果を目指すとき。つまり抽象の世界を生きる理論家でありながら政治・産業の論理に積極的に参入していくとき、彼が構築した専攻の理論の高度さとは対照的に、政治・産業>>続きを読む

都会の牙(1949年製作の映画)

4.0

主人公が毒を盛られるサンフランシスコのクラブで流れるジャズバンドのライブがそこだけ数分間映画から独立してジャズ自体の強度を記録した映像になっているのが心地よかったのと(もっとも調べるとアテレコらしい)>>続きを読む

霊魂の不滅(1920年製作の映画)

3.5

北欧のクラシック映画でこのタイトルなら、デンマークのクリステンセン『HAXAN 魔女』と同じような、伝統宗教の霊性を解説する映画だと思って観たら、北欧版『レ・ミゼラブル』みたいな改悛ドラマでビックリし>>続きを読む

バレー・オブ・バイオレンス(2015年製作の映画)

3.0

順当におもしろいけど、目指したであろう南部ゴシックとしては全然成立していない。

ディアスキン 鹿革の殺人鬼(2019年製作の映画)

2.5

シンプルクズキチガイをえがくのはよいんだけど、「DD(だから・どうした)」のフィールドを抜け出てくれない。

地下室のヘンな穴(2022年製作の映画)

3.5

口元をモッチャモチャさせてもったいぶって中々本題を話さないくだりをしつこく入れてくるのと、主題の穴よりも「電子ペニス」のほうがおもしろかった。

イノセンツ(2021年製作の映画)

3.5

ベランダからマンションの中庭を覗くと、こちらをじっと見つめる人が遠くに立っていて、あ、この人は私を殺そうとしている人だという確信が湧いてくる、という夢を小さいころ大型マンションに住みながらよく見ていた>>続きを読む

ツリーベンジ(2008年製作の映画)

3.0

ジェイソン・アイズナーいつの間にYouTubeにこの短編映画アップしてたんだ

オオカミの家(2018年製作の映画)

3.5

ストップモーションアニメは24分の1秒ごとにカットされるのだから本来カットという概念は成立しないのだけど、だったら長編を丸ごとワンカットにするのも通常工数・工期のうちに行えるだろうと逆手を取って作られ>>続きを読む

ミュータント・フリークス(1993年製作の映画)

4.5

映画の世界にうのせけんいちの漫画を見出そうとするなら、これしかないと思う(つまり、よく笑いについて言われる"緊張と緩和"のうち、緊張が、このギャグ世界では緊張であることの自覚を持たずずっと緊張のまま維>>続きを読む

サンクスギビング(2023年製作の映画)

4.0

イーライ・ロスこんなにフレッシュな18禁ホラーをいまだ撮れるのかと嬉しく思ったら、これグラインドハウスの中のフェイク予告編からいまごろ長編化された作品なのか(つまり、あのホーボーウィズショットガンと同>>続きを読む

マルキ(1989年製作の映画)

3.5

革命指導者マルキが自分のちんこと会話し続けるクソバカマペット映画だけど、たとえば会社のなかで「それは品管がどう言うかな」とか「ちょっと業務部に聞いてみないと」というように、人間自身にとってペニスとは、>>続きを読む

キラーカブトガニ(2021年製作の映画)

3.5

四肢障がい者は手足の補助のために、ロボット技術を自らの身体に付け足す。パラリンピックの短距離走のほうがオリンピックのそれよりもずっと早いように、障がいは一種の「チート」になる。ある欠損によって技術が要>>続きを読む

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)

3.0

今月タイ旅行に行ったのだけど、その一種の反芻として封切り以来ぶりに見返した。

旅行の感想、バンコクという都市は異様だった。空港からバンコクに向かい、鉄道が橋を渡ると亀の背のように盛り上がった高層ビル
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.0

すさまじく個人的な話だが、俺は同居家族に認知症の父がいる。父はよく悪夢を見る。布団から体をはみ出し、うあーうあー…とうめきながら、手足を振り回す。肩をパンッと叩いて「父さん!」と言い、悪夢から醒まして>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

2.0

短編とは分かっていたけどパイロットフィルムだったとは…というのと、単純に手癖だけの作品すぎ。

ハンテッド 狩られる夜(2023年製作の映画)

3.5

蓋を開けてみると、人種や世代、そして陰謀論者といったアメリカの属性ごとのコンフリクトをテーマに敷いて、それをヒッチコックの裏窓よろしくガソリンスタンドの売店という狭く閉じた空間で繰り広げるという寓話劇>>続きを読む

雨降って、ジ・エンド。(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ある個人を、利益・快感を得るための手段としてでなく彼という対象そのものとして目的とすべし、というのは、アリストテレスのニコマコス倫理学(のピリアー論)からカントの道徳法則に至るまで、「愛」をめぐる規範>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

解剖学者とは、生物の身体を、モジュール(部品)の集積(システム)と見る人を指す。その視座に確証を得るため、解剖学者は、人間身体に数多く存在する臓器というモジュールの置換可能性を執拗に検証する。
ウィレ
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Renaissance: A Film by Beyoncé(2023年製作の映画)

4.0

ラスト、 Jay-Zからツアーの感想を求められた(すっぴんの)ビヨンセが答えた、「私は"新しい動物"になれた」が、理論的にも感性的にも一語に圧縮された100点の回答だった。

クロムスカル リターンズ(2011年製作の映画)

3.0

おもしろかったけど、この作風で殺人鬼のバックグラウンドを掘り下げるのは悪手でしかないのでやめてほしかった。

クロムスカル(2009年製作の映画)

3.5

殺すとき、殺す手元を隠さない一点豪華主義。ようやく観られた。けど、SNS時代の尾ひれのついた前評判で垢がつかないうちにTSUTAYAで出会いたかった。

枯れ葉(2023年製作の映画)

3.5

終わったとき「あれ?1時間ぐらいの作品だった?」と思ったらふつうにその1.5倍ほどあったので、一見こんなに抑揚のない調子の作品なのに、B級バイオレンス映画以上に退屈を許さない作りになっている。
つまり
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ヴィトゲンシュタイン(1993年製作の映画)

4.0

もうSHIBUYA TSUTAYAは亡くなったので、ソフトでないと観られない映画の一つとしてDVDを買った。
20年前に観たときは何が何やらだったけど、いま観たら、ウィトゲンシュタインの理論について(
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EO イーオー(2022年製作の映画)

3.5

ロバが主人公の映画といってもスコリモフスキー自身は別にロバに愛着はなく、ただ「意思のない者」を主人公にロードムービーを撮ったらいかなる画面になるか、というブレッソン的実験をロバに託していた。
おもしろ
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ベスト・キッド3/最後の挑戦(1989年製作の映画)

4.0

やはりこの手のシリーズ化は爛熟して崩壊する寸前の3が一番おもしろい。
敵たちからいかなる挑発をされても不戦の美学をつらぬく老師ミヤギが、悠長にそのスタンスを貫いていたら愛する店の盆栽をすべて破壊されて
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ベスト・キッド2(1986年製作の映画)

3.5

クライマックス、宿敵が「お前は俺に恥をかかせた。謝られても俺の恥は消えない。だからお前を殺す」とまったく隠さず、俺は恥をかかされるのが嫌いだからお前を殺すんだと述べるシーンにしびれた。

ベスト・キッド(1984年製作の映画)

3.0

「いまここは喧嘩に負けて、仲間と彼女からめちゃくちゃダサく見られているとき」「敵がバイクで自分は自転車なのもダサい。ママが買ってくれた自転車なのもさらにダサい。だからマザコン自覚の悔しさから自転車を投>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.5

映画はモンタージュの所産である以上、時間芸術のふりをして、本当と言い張ることができない時間の紛いものしか作れない。というのはヌーベルヴァーグがしつこく訴えていたことだけど、二つの画面を並べてその二つが>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

冒頭いくつかのゴア描写(観客の眠気を早期に露払いしておく気遣い)がありつつ、画面に対しては、陽の光が画面の奥底まで貫いて、明瞭に木々の緑がはえる後期の黒澤明や勅使河原宏が撮った時代劇の質感を感受する。>>続きを読む

クール・ワールド(1992年製作の映画)

4.0

音楽もアニメも良い趣味の塊。John Kの先取りを感じさせる。

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