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イコライザー THE FINALのHazixのレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
5.0
"人生はすべてタイミング"

『イコライザー』シリーズ第3作。
舞台をイタリアに移しシリーズに地中海の風が吹き込んだ本作は"目的を見つけるオリジンストーリーである1作目"や"アクション性を高め、夢の家に戻り平穏を見つける2作目"とはまた違った"居場所を見つけるドラマ重視のテイスト"で3作ともしっかりと差別化することに成功しておりイコライザー・トリロジーとしてシリーズの格をさらに上げた最終章だった。



本作で際立っていたのは、マッコールさんの心情がより深く描かれていた点だったように思う。
負傷し瀕死のところを助けられ、そうでなければ訪れなかった田舎町、出逢わなかった人々と交流する様。療養しながら衰えた体力を取り戻そうとしながらも己の"正義の名の下の制裁"に疑問を抱き葛藤する様。暖かく受け入れられつつある田舎町を脅かす悪に怒りをあらわにする様。機微を穿つデンゼル・ワシントンの演技をもってマッコールさんに深く感情移入させられた。
そして、その人情パートの描き込みが丁寧であればあるほど非情パートの爽快感が増す。つまりアクションシーンが活きる。本作のアクションシーンは前2作に比べて限定的ではあるものの、より速くより過激になっており、冒頭の殺戮と終盤の殺戮では心情の変化を表すかのように違った演出で魅せてくれる。
マッコールさんが歌う『I know it was the blood』は黒人コミュニティで歌い継がれたキリストの磔刑から復活までを歌う霊歌。
"2C2L"も怖いが、さらに恐ろしいのはこれがデンゼル・ワシントンのアドリブだということ。

忘れてはいけないのがダコタ・ファニングとの共演。『マイ・ボディガード』以来約20年ぶりの共演となる。冒頭直後、マッコールさんが自決しようと頭に銃口を向けるシーンは『マイ・ボディガード』でクリーシーがピタに上手く接することができず、酒に溺れて自決を試みるも弾が不発になる"奇跡"へのオマージュだろう。ダコタ・ファニング登場前からファンを喜ばせたのには驚いた。
二人の共演シーンはどこかクリーシーとピタとの"笑ってる笑ってないの会話"を思い出し、見ているだけで胸が熱くなった。

これで『THE FINAL』というのは寂しいが、終わり方としては綺麗な終着点かなとは思う。でも『イコライザー4』が作られるとなってもそれはそれで大歓迎したい。
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