キヲシ

丹下左膳餘話 百萬兩の壺のキヲシのネタバレレビュー・内容・結末

丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

アマゾン配信終了間際に再見。名画座?ビデオ?で見たのか定かではない。画質が悪かったことと走る丹下左膳が記憶に残った。今回はリストア版なのか見易い。しかし、大河内傳次郎が何度も走るショットがない…何か他の映画と混同したのだろうか?…自分の記憶に自信がない。
「俺は金輪際行かない」「行かん」と言いつつ、部屋をうろうろ、庭をうろうろして結局行くんかい!「あんな子、家には置けないよ」「道場だ」「寺子屋よ」カット変われば「ごはんおいしいかい」「弘法でもこんなには書けまい」ってな調子が最高、ええわ。道場主の沢村国太郎のいい加減さ「…江戸は広いからのう十年かかるか…」。射的場の的と外れた矢、ひっくり返される屑屋の荷物、喜代三の歌と置物の猫とフクロウなどなど、執拗なくらいの繰り返しが、幸せだ。質屋の看板が揺れる路地、家出したちび安?と探す左膳の水路脇の小道とか橋もそう。「おじさん博打で負けると唸るんだね」からの配慮が効いた敵討ちと「博打で負けたんだろ」も。
やはり、このリズムで最後に壺を持って行ったちび安を追いかける左膳のショットがないのは、おかしいぞ!変だ!

追記 高勢実乗と鳥羽陽之助の屑屋とともに流れるテーマ「ターンタータタッタタタ…」が頭の中でぐるぐる回ってる。アマプラ日活チャンネルに4K版があったので再見。やはり…。女将さんの唄が始まる(横移動ショット!)と左膳は招き猫を後ろ向きに。「金返せ」と両替屋にねじ込まれて、ケンカした際に壊れて代わりに梟の置物が。ラストでのちょび安がなんとも可愛い。小さい、中くらい、とても大きな的。左膳はさすがそこに当てるか!本当、幸福感に満ちた傑作だ。
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