キヲシさんの映画レビュー・感想・評価

キヲシ

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マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

3.5

柔らかな自然光の中、一軒家の居間の片隅で、小さなマルセルがちょっと早口で教えてくれる秘やかな暮らし。巻き貝の中から覗く目玉と小さな一揃いの靴。不気味でもあるが、その微かな息遣いと絶え間ない話を聞いてい>>続きを読む

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

3.5

嫌みな上司にキレて職場(ホテル?)を飛び出し、自家用ジェット機に乗り、ライブ会場のバックステージに通されたアリー(レディガガ)が、一緒に歌うよう促される。いやいや無理無理…ドラッグストアの駐車場で冷凍>>続きを読む

ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~(2022年製作の映画)

3.5

監督信友直子自身の闘病、母が正月に口にする「ぼけますからよろしくお願いします」の名台詞、いつも温和な父の激昂する場面…前作をなぞりつつ、母の脳梗塞による入院で新たな日常が始まる。ほぼ寝たきりで意識もお>>続きを読む

男たちの挽歌 II(1987年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

マークの双子ケン(チョウユンファ)と悪役コーのクールな手下との一騎打ちが凄まじい。お互い倒れかけるも、懐から取り出したもう一丁を足蹴にして床を滑らせケンの足元へ、せーので同時に拾い上げて再び互いの銃口>>続きを読む

男たちの挽歌(1986年製作の映画)

3.0

中盤のマーク(チョウユンファ)の襲撃シーンが見せ場。ホステスと戯れながら廊下に置かれた植木鉢に銃を隠して行くマークが、円卓で盛り上がる敵のボスを初手で倒すがまだ…のまま、残党との派手な銃撃戦に突入。二>>続きを読む

大統領の陰謀(1976年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ダスティンホフマンの登場がふと気付くと画面右のドアにいて、俺にもやらせてくれと、でも却下。蛍光灯が並ぶ大広間の記者室、ロバートレッドフォードの原稿を奥で回収して何やらタイプに向かうホフマン。レッドフォ>>続きを読む

ガールフッド(2014年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

なにガン付けてんだお前ぇ!的な、線路を挟んで地下鉄ホームで交錯する視線と罵声が、互いに列車に乗り込み窓越しにナイフをちらつかせて継続、発車とともにあいつらビビってたなあと弾ける笑顔。マリエム(カリジャ>>続きを読む

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ヨルゴスランティモスだからなあ、普通じゃないとは予想していたのだが…ここまでとは。テーブルの食塩らしき容器は何と呼ばれていたか。「ゾンビ」は「小さな黄色い花」。変な切り取り方のミドルショットで表情が見>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.5

ミミズが空に伸びて行くのは、なかなか不気味で怖い。三本足の子供椅子がカタカタ走る姿は可愛い。九州から東北へ向かうロードムービー。コロコロ転がる蜜柑を止めて、ケラケラ笑うガールズトーク。雨宿りのバス停か>>続きを読む

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

4.0

大学から逃げ帰って来たニーナ(レスリーグレイス)が、笑顔を返しながら、昔の自分を思わせる快闊な少女を目で追い、どうしたらいいの?と街を彷徨い歩く。配車係ベニー(コリーホーキンス)の軽快なラップ。停電の>>続きを読む

夕陽のギャングたち(1971年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アマプラ配信停止間際。リマスター版。「シャンシャンシャン…」というモリコーネの曲と共に挟み込まれる回想シーンは、「突然炎のごとく」や「明日に向かって撃て」のような男2女1のキスとかキスとかが、ベタなス>>続きを読む

終身犯(1962年製作の映画)

4.0

マザコンの凶悪犯ストラウド(バートランカスター)が、刑務所内で食事をしながら音楽鑑賞の最中、席を立ち刑務官に詰め寄る。俯瞰ショット。演奏が止まり衆目が集まる。ローアングル。振り上げた警棒を抑え、突き立>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ソルトバーンの屋敷をバリーコーガンが全裸で踊りながら(ちらちらとぼかしが入る)周回するので、来るか来るかと思っていたらバーン…。ええっ!?そ、そうなんだ。
「聖なる鹿殺し」に続き、今作で現代の怪優第一
>>続きを読む

ロング・ライダーズ(1980年製作の映画)

3.5

実在のジェイムズとヤンガー強盗団をモデルにした群像劇。冒頭の銀行強盗でミスを犯したエドミラー(デニスクウェイド)に分け前を投げつけ、ボートを漕ぎ出すジェシーとフランクのジェームズ兄弟(ジェームズキーチ>>続きを読む

続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

テンガロンハットを被った濃い顔、寂れた荒野の町?に現れる人馬の影…。リマスター版のクリアな画面にどーんと現れる顔、顔、顔。飛び込んだ男たちを返り討ちにしてUGLYことイーライウォーラック登場。奥に長い>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭、川を渡るシーンが続くのだが、水が女たちの腰どころか胸元の辺りまでくるので驚く。濡れた服を絞り広げて乾かした後、日が暮れる直前の野営の場面が美しく、「ノマドランド」みたいな映画かと思わせるがもう出>>続きを読む

ファッション・リイマジン(2022年製作の映画)

3.0

ファッションには明るくないので、このブランド「MOP(マザーオブパール)」については全く知らなかった。ファストファッションの弊害についてはドキュメンタリー映画「トゥルーコスト」が詳しい(堆く積まれた古>>続きを読む

杜人(もりびと) 環境再生医 矢野智徳の挑戦(2022年製作の映画)

2.5

鍼灸師の中にはある種の超人的な能力を持つ人がいるのだと思う。施術を受けた人だけが感じる何か。ただ、それは体験した者の中でもグラデーションがある。いい翻訳者がいるとなるほどなあと思えるのだが、そこにも相>>続きを読む

太陽の塔(2018年製作の映画)

2.0

大阪万博当時は5才で東京在住だったのだが、それでもその高揚感というものを感じていた。どこからか貰った記念メダルは大切に仕舞い込んでいたので、まだ実家にあるかも。建築家の丹下健三、黒川紀章、菊竹清訓、作>>続きを読む

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.0

二人が出会うバーのシーンでカットが変わっても流れ続けるのが「settled down like rain」。ジェイホークスというアメリカのカントリーロック?バンドの曲。あまりメジャーではないので驚いた>>続きを読む

愛のメモリー(1976年製作の映画)

3.5

デパルマ監督、ジュヌヴィエーヴビジョルド主演ということで見てみた。後に教会ということがわかるのだが、廟のような建物にバーナードハーマンの不穏なテーマ曲が流れる。脚本はデパルマとポールシュレイダー!これ>>続きを読む

ブルーベルベット(1986年製作の映画)

4.0

なんと言ってもデニスホッパーでしょう。箪笥に隠れたジェフリー(カイルマクラクラン、リンチに似てる)視点でもあるのだが、居間の中でドロシー(イザベラロッセリーニ)が人形のように見える。終盤、ここが再び舞>>続きを読む

ア・ホーマンス(1986年製作の映画)

3.5

松葉杖を振り回すヤクザ片桐竜次が「山崎、お前いい顔つきになったな」。映画初出演の石橋凌が「筋者でもねえ素人でもねえ犬ころでもねえ困ったな」、「人間ですよ」大型バイクの横で寝袋に包まれた松田優作が答える>>続きを読む

怪談お岩の亡霊(1961年製作の映画)

2.5

人混みの中、ふらふらと彷徨う田宮伊左衛門(若山富三郎)。薬売りの直助(近衛十四郎)にお岩(藤代佳子)について語る、その内容が酷い。というか伊左衛門自身が酷い。始めから死んだ目をしている。お岩の亡霊を見>>続きを読む

丹下左膳 乾雲坤竜の巻(1962年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

大友柳太郎の丹下左膳第五作目。監督が加藤泰に変わり、いままでのカラー娯楽作品からモノクロのシリアス路線に。興行的には失敗だったらしい。そりゃあそうだ、戸惑うに違いない。冒頭、頬被りしたアップ、尻絡げ姿>>続きを読む

丹下左膳 怒涛篇(1959年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

多幸感に溢れる大友柳太郎の丹下左膳、その第二作目。監督は松田定次と松村昌治、脚本は中山文夫。松田はマキノ雅弘の異母兄弟で、ともに面白い作品を大量生産。正に映画の申し子。さらわれたちょび安(松島トモ子)>>続きを読む

丹下左膳(1958年製作の映画)

3.5

ドーンと横長、東映スコープの娯楽大作という感じ。大友柳太郎の丹下左膳は山中貞夫版の明るい流れを継ぐ。ヒロイン萩乃役の美空ひばりが劇中で三、四曲ほど披露。その若侍姿には悪役丹波(山形勲)が思わず迫ってし>>続きを読む

県警対組織暴力(1975年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

大西ゆかりの歌で知って鑑賞したが、ほぼ「仁義なき戦い」のスタッフとキャストでさらに俯瞰した世界が精緻に描写された傑作。様々な死に様を描いて来た深作監督だが、アパートの二階に情婦と籠もる密告者を刺殺する>>続きを読む

仁義なき戦い 完結篇(1974年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

とうとう完結編まで4K版で完走。千葉真一の大友勝利が宍戸錠に。シリーズ屈指のキャラクターだけに厳しいなあ。とはいえ「広島死闘編」のあの千葉が天政会の副会長席に座っている姿も想像できない。うーん、誰なら>>続きを読む

銀鏡 SHIROMI(2022年製作の映画)

2.0

徹夜で次々に奉納される「星の神楽」。小さな山間の集落でこの祭事を行うという事実に圧倒される。老夫婦の切り出した竹を組んで作られる大きな飾りが印象的。ゆずの加工会社を設立して、集落と祭事の存続を図り、そ>>続きを読む

仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)

3.5

原爆後敗戦後の広島を舞台に約20年間、混乱期に咲いた仇花は市民社会の秩序に飲まれ散っていく…。「はだしのゲン」から「仁義なき戦い」そして、最後のナレーション通りの世界が続いている。最初にこのシリーズを>>続きを読む

仁義なき戦い 代理戦争(1973年製作の映画)

3.6

うーむ、やめられないな…4K版で三作目を再見。村岡組長の引退で跡目を誰にするか?菅原文太、成田三樹夫、山城新伍、小林旭の幹部が譲り合い結果、金子信雄に。誰でもいいからやればよかったのに…。でも、そのお>>続きを読む

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

3.7

前作に続き4K版にて再見。終盤、潜伏する北大路欣也を探して走り回る警官たちがヘッドライトに浮かび上がる。夜間の屋外ロケしかも雨という悪条件で撮影された荒いフィルムの画面が艶やかで生々しい…気がする。叩>>続きを読む

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

4K版が出てるのか…ちょっと再見しようっと。まあ4Kだからどうということはないが、やはり面白い。
「わしがやっちゃろか?」で松方弘樹から渡された拳銃は最初は不発…。懲罰房で梅宮辰夫と腕を交わして互いに
>>続きを読む

白いリボン(2009年製作の映画)

4.0

うーむ、なんというか、強度のある映画。正直、どういうこと?が多過ぎて、とても居心地が悪いのだが…わかった気にさせてたまるか、という意志を感じる。第一次大戦前、住民の多くが男爵の農園で働くドイツの小さな>>続きを読む

ザ・クロッシング(2021年製作の映画)

4.0

アマプラ配信停止間際、見てよかった。アトリエ内部の実景からテーブルのデッサン帳を捲り始めると、ナレーションが流れ「これは父、これは母、双子の弟たち、故郷の人々、もうこの人たちはいない…」。そして、森の>>続きを読む

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