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女優iの憂鬱/COMPLY+-ANCEのArataのレビュー・感想・評価

女優iの憂鬱/COMPLY+-ANCE(2022年製作の映画)
3.5
《MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)》シーズン4より。

斎藤工さん監督作品。
伊藤沙莉さん主演、アルコ&ピース平子さんや、ラバーガールの大水さんなど、芸人さんが出演されている、コロナ禍と近年のテレビ番組などのコンプライアンス問題を、笑いにまぶして怒りを伝える、社会派コント。


【あらすじ】
都内某所のカフェ。

新進気鋭の女性俳優のインタビューを行うのだが、店内の換気、アクリル板の設置、手指消毒など、コロナ禍で取り組まなければならない問題が山積み。
更に、近年の放送倫理的に様々な問題があると言う事で、それに対して過剰な対策を講じ、まるで事実とは異なるVTRが出来上がってしまう。

コロナでの「変化」(MIRRORLIAR FILMS全編共通のテーマとの事)、放送倫理の「変化」で、視聴者が求めるとされるものにも「変化」が起きている。

その変化について、我々視聴者は何を思うのか?と問いかけてくる、社会派コント映画。



【感想など】
コンプライアンスをcomplianceと表記せず、COMPLY+-ANCEと表記。

COMPLYは、規則、要求、命令、規格などと言った意味。
ANCEは、行動、状態、性質など。
その間にプラス記号(+)とマイナス記号(-)。
プラスマイナス記号(±)ではなく、プラス記号とマイナス記号の並記。

プラスマイナス記号は、簡単に言うと上下の誤差がいくつあると言う意味。
例) ±2mlは、2ml多いかも知れないし、2ml少ないかも知れないと言う意味。

プラスマイナス記号ではなく、プラス記号とマイナス記号を並記させた事で、COMPLYつまり規則や要求に対して、ANCEつまり状態などに幾分かの「誤差」が生じると言う意味では無く、COMPLYに対して過剰に加えたり除かれたりしたANCEであると読み解ける。

また、「女優iの憂鬱」の後ろにスラッシュ記号( / )を表記し、「COMPLY〜」と続くのだが、スラッシュ記号には「並列」の意味があり、ここではおそらくそれ。

以上を踏まえて考察すると、女優iの憂鬱は、要求や規則に対し過剰に足し引きされた状態に起因するものであると考えられる。

凝ったタイトルなどは、ついついあれこれと考えてしまう。


爆笑問題さんが最近始めたYouTubeチャンネル「爆笑問題のコント テレビの話」(以降「テレビの話」で統一)が、まさに同じテーマであった。

爆笑問題さんに関しては、いつも炎上している件などに関して、色々と思う事がある方もいるかも知れないが、私個人的には好きな芸人さんである。
「テレビの話」を先に見てしまったと言う事もあるが、コロナ禍やコンプライアンス問題などに関しての切り口を比較してしまい、この作品の「ボケ方」にやや物足りなさを感じてしまった。
炎上やアンチが多い同コンビ(特に太田さん笑)ではあるが、それだけ危ういラインを攻めていると言う事でもあるのだろう。

コロナ禍のガイドラインや、放送倫理など、誰のためのモノなのか、見失っていないかを考えさせられる。

実際の現場や、生放送など、編集の余地のない様な場面との乖離が、取り返しのつかない所まで来てしまっているのかも知れない。

我々が受け取っている情報は、果たして何が事実で何が操作されているのか、正しく判断出来る自らの目を養い、自らを守れるようになっていかなければならないのだろう。


伊藤沙莉さんの演技、存在感は流石で素晴らしい。

大水さんは、どこに居ても大水さん。

内容とは関係ないが、この作品の終了後にお席を立たれる方が多く驚いた。
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