このレビューはネタバレを含みます
売れない作家とその友人の妻子との奇妙な同居生活が始まって…となれば、なんとなく結末がどうなるのか想像できます。
だから、あまり意外性のないストーリーではありますね。
物語のスタート段階では、登場人物2人（山田裕貴さん演じる慎一と、松本まりかさん演じる裕子）の心情はかなり不安定な状況にあります。
それを象徴するかのように、撮影するカメラの手ブレがかなり激しくて、酔いそうになりました。
自分自身に対する苛立ちが他者に向かってしまい、他人との関係にヒビが入ってしまう慎一と、母親としての理想を抱きながらも孤独に耐えかねて夜の街に出ていく裕子。
孤独と癒しがたい傷をそれぞれに抱えた二人が半同居しているわけですから…。
慎一は、
自分でも嫉妬深く衝動的な性格はわかっている、
そのため仕事は思うように進まない。
結婚を期待する女性とはうまくいかない、
けれど、淋しい。性的な意味も含めてパートナーが必要。
自分を慕ってくれるアキラは可愛い存在。
裕子は、
仕事はなんとか安定している、
結婚にもう夢は抱いていない、
でも、淋しい、性的なパートナーは必要。
アキラはきちんと育てたい、
そのためには父親的な役割を果たしてくれる人が必要。
そういう2人の欲求がマッチして、
決定的なのは、アキラの存在が二人を繋いだということでしょう。
山田裕貴さんと松本まりかさん、この二人のキャスティングはしっくりきましたね。
そして、アキラ役の森優理斗くん、自然な演技でとても良かったです。
結末はともかく、この関係の行き着く先は、彼らの未来はどうなるのでしょう？
それを思わずにはいられませんでした。
これから先、アキラが悲しい思いをしないで済むように…。
