女性監督による少年主人公の物語。母親の女友達のカナダの別荘に家族とやってきた13歳のフランス人少年とその家の16歳の娘のひと夏の経験を静かに追う。フイルムのざらざらとした質感とくぐもった劇伴で冒頭からラストまで不穏な空気は途切れることがない。その死のイメージは常に湖畔の美しい風景とともにある。映画全体を覆うメランコリックな質感は「ゴーストストーリー」にも近い気がした。
以下ネタバレです。
それまで退屈なほど淡々と語られ続けた青春物語は、ラストの衝撃によって全ての出来事の意味が反転して見えてしまう。少年の視線が生前のものなのか、死後の回想なのか、バカンスの最終日でつなげてみせた構成が見事。冒頭ひとりがけソファに座る少年の肩越しに、桟橋で寝そべる少女の平穏すぎる構図が、頭にこびりついて切なくなった。
