ShinichiAndo

ファルコン・レイクのShinichiAndoのレビュー・感想・評価

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)
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13歳の少年と16歳の少女による、避暑地の湖での“ひと夏”の物語。青春とは、1%の美しい思い出と、99%の後悔でできている。二度と取り戻すことも、やり直すこともできない“後悔の瞬間”を、スタンダードサイズの16mmフィルムによって繊細かつ刹那的に映し出す。決して感傷的でないからこそ、ラストが胸に突き刺さった。

主人公の少年が久しぶりに再会した年上の少女に、缶ジュースを手渡しながら最初にかけた言葉が、 「別にいらなければ飲まなくていいから」というところがとてもリアルで良かった。思春期ならではの自意識と自信のなさと気恥ずかしさが入り混じったが故の意味不明な言い訳、自分も身に覚えがあるので…。

夏の始まりに観た「アフターサン」と、夏の終わりに観た「ファルコン・レイク」。どちらも“忘れられないひと夏”を描きながら、登場人物が無邪気で無防備であるが故に危うくて儚くて、そして何気ないシーンが不穏な雰囲気に満ちているところがとても印象的でした。どちらも素晴らしい作品なので、晩夏の映画館でぜひ。
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