miu

ファルコン・レイクのmiuのネタバレレビュー・内容・結末

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

思春期特有のはやく大人になりたい焦燥感を満たす方法の一つは死に近づくことなんやろうなって思う。クロエの希死念慮とそれに付随する自傷行為や湖にまつわる噂話、幽霊のふりは子供じみてて不謹慎で、「死にたい」と簡単に言えてしまう未熟さみたいなのが表現されててしんどかった。
実際の死は想像してるみたいにドラマチックで美しいものじゃない。地味であっさりしてる(実際私はバスティアンが死んだことに気づかなかった)。死ぬことは取り返しのつかないことで、よくある大人になって思い出す一夏の恋はバスティアンが死んじゃったことによって最悪の後悔の思い出として残り続けるし、クロエがあまりにも可哀想。殺さなくて良かったんじゃないかって思う。この映画を良いと言ってしまうことはクロエと同じように死を甘美なものとして捉えているのと同じだという気がしてしまう。ぼんやりとした風景はモネの作品みたいで掴みどころがなくて逃げ場のない暗い感じで、静かなのもあってずっと不安な気持ちにさせられる映画やった。その風景描写も相まってバスティアンの死はオフィーリアみたいだなぁと少し思った。
田舎で出会う歳上のお姉さんに憧れるのは万国共通なんだなぁと思うけど、クロエはあまりにも妄想すぎて現実味がない。
あんな男の子にとって都合の良い16歳おらんやろという気はした。
miu

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