忘れかけてた感覚を思い出させてくれる、繊細で、良い映画だった。
思春期特有の、高揚感や焦燥感、喪失感など多感な感覚が、引っ掛かり無く画面から伝わってくる。原作があるらしいけど、人物設定と舞台が的確で、美しい自然の中、久しぶりに過ごす人たちとの時間は、常に浮遊感が付き纏い、同時に心の隅で不安感が漂っている。そんな繊細で、言語化できない感覚がこの映画にはあるし、それを邪魔しないカメラワークは素晴らしいと思った。
序盤から、生と死のテーマを匂わせるシーンが断続的に続いていて、ホラー程の緊張感は持たないような中途半端に不気味なショットの数々は不思議に思っていたが、結末を知って納得した。内容やカメラワーク含め映画全体のテンポが良くてとても観やすかった。
少し伏線があからさまで、映しすぎな気もするが、長編デビュー作らしいので、次作を楽しみに待ちたい。
