嵯峨

野いちごの嵯峨のネタバレレビュー・内容・結末

野いちご(1957年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ベルイマンの中で「最もわかりやすい映画」らしい。どんだけわかりづらい映画を撮り続けてたんだこの人は。
「仮面/ペルソナ」が大好きで何度か見てるほどなんだけど、こっちも良かった。「仮面/ペルソナ」ほどじゃないけど。強ち「仮面/ペルソナ」とは全く言い切れないかなとも思った。言ってしまえば彼の「仮面」は好好爺で「ペルソナ」は空虚って話だし、まあ無理やりか・・・。

ロード・ムービーでもあるし、回想や悪夢が随所で入る、変わった映画だった。映像なんかもあきらかに現実場面と回想場面とでカメラワークや明暗の使い方が変わってて「不快〜だけど癖になる!!」って感じの映画で、なんか他の作品も見たい!!ってなりました。
「針のない時計」が「死」のモチーフであるのと同時にこうした全ての時間軸が並列になっていて、そこを行き来することを表してるのかなーと思いました。まさしく走馬灯のような1日なわけで。
こうして空虚なペルソナを何とか受け入れて、最後の父親の姿を思い出し自己完結させることで輪を作り、脈々と受け継がれる孤独をストップさせる献身的ラストになってる暖かい話のようにも思えるけど
・・・ということはこの人、また悪夢を見るよね・・・と嫌な解釈をしてしまった僕は多分本当に嫌な奴なんだろうと思いました。
嵯峨

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