野いちごの作品情報・感想・評価

「野いちご」に投稿された感想・評価

ゴマ

ゴマの感想・評価

4.7
映画の冒頭、主人公の老学者が観る夢の世界はつげ義春の『ねじ式』に影響を与えているかと思う。つげ義春のオールタイムベストにこの野いちごが入っているようだし。名誉学位授賞式に向かうわずか数時間の道のりの途中途中で老学者が見る夢か現実かわからない数々の場面は後の様々な映画監督に影響を与えている。
野いちごは英語でwild strawberryっていうのか いいね
ポラ丸

ポラ丸の感想・評価

4.8
「ベルイマンが難解だなんて誰が言った?」
2018.7.21 エビスガーデンシネマにて鑑賞

長い間多くの人に愛され続けてきたベルイマン作品。
だけども作品解説やレビューを読むと、そうなの?って思うことが多い。
多くの人が複雑にとりすぎている気がする。

ベルイマンの魅力は「純粋なこと」そのシンプルさがいいんだね。
映画界の巨匠たちに愛されたのもピュアだからではないか。
たしかに才気溢れる人だし絢爛に描かれるとシンプルさが見えにくいこともある。そもそもシンプルな真実は理解しずらい面もあるかもしれないけど。

本編は一人の老医師が名誉博士授賞式のため車で旅をする。
その途中の懐かしい場所から想起される想い出や老医師を襲う悪夢を交えて物語は進んでいく。

同行する息子の嫁、家政婦、息子そして昔日の妻との会話。
それらは老医師の生き方、人格に対する厳しい批評だ。

青年時代の許嫁の裏切り、妻の不貞、嫁への同情・・自分では相手を思いやり、許容してきたはずなのだが相手はそうはとらない。
愛情をもって接してくれるのはドライブに同乗させた若者3人やガソリンスタンドの若夫婦・・どちらかと言えば遠い存在の人たちだ。
自分が愛する人たちに受けいれられない寂しさ。

人生の海に一人で乗り出した時からそれは宿命なのだろうか。

最後に海で手を振り微笑む若い両親の夢がやってくる。
ようやく老医師に安堵の表情が浮かぶ。

そこで観客はそれまでの老医師の回想では何時も
両親が欠けていたなぁと気づくんだね。
kimnorah

kimnorahの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

老いと若さ、神を信じるか否か、愛情を感じつつ、孤独もある、等々、いろんなコントラストが効いててとても面白い。罪が普通の罪になった時、それが孤独である事が興味深い。そもそもなぜ罪を受けなければならなかったのか?それは本当の自分に従わなかったから?
ラスト、ベッドで昔を、思い出すシーン、自分も同じ様なシーンが浮かんできていきなり泣きそうになった。
haruka

harukaの感想・評価

4.3
タイトルから想像していたものとは、まったく違う作品だった。素晴らしい。大好きだ。
受け継がれていく「孤独」とは。
息子の言葉が響きすぎてつらい。
ストックホルムからルンドへの車の旅で、彼は自分を、そして息子を、もしかしたら少しは、孤独から救えるようになったのかもしれない。
野いちごは、もうない。遠い記憶の中にしか。
2018.7.21
恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞

イングマールベルイマン。
北欧の天才。

初めて作品を観たが、痺れる経験は無かったのでもう少し見ないとその良さは掴めない。

調べる限り誰も触れていないが、今作の脚本が精神分析的視点に多分に影響を受けているように感じるのは自分だけなのだろうか。

ストーリーの転がしとなる、イサクが度々観る示唆に富んだ夢。
開業した地を訪れる際に不意に口から出る失錯行為。
夫との口論で車を横転させた夫人の持つヒステリー。

彼がみる夢は以下の通りだ。
「秒針の無い時計」「触れただけで破裂する紳士」「街灯に突っかかり進めない馬車から落とされる自分の死体」。
これらはイサクが死を恐怖している事を端的に表している。
「理不尽に落第させられる医学部の試験」。
これは彼が名誉博士号を持つに相応しくないという無意識の発露だ。
「自分と付き合っているにも関わらず弟に唇を奪われるサーラ」「妻と知らぬ男の不貞」「ラストシーンでイサクを迎え入れる父母」。
妻の背徳は夢ではないかもしれないが、他は想像の産物である。
イサクはエディプスコンプレックスを正常には通過できず、「自分以外とつながっている母親」というイメージを、好意を寄せた女性に常に転移させてしまっていた。
ラストシーンは彼のエディプスコンプレックスが彼の中でようやく終わりを迎えたことを意味しているように感じたがどうか。

ならばこの作品は、78歳のイサクが自分自身の無意識への抑圧をようやくはっきりと意識し、道中出会う人々によって次第にその解消を迎える成長物語ということになる。

なんともイカれた映画だ。
老年期の孤独なエゴイストの回顧録という湿っぽい話ではあるけれど、観た後は爽やかさが残る。映像が麗しく音楽も良かったし、おもっていたよりずっとテンポがよかった。

老いや孤独という不条理と向き合う人生がテーマのこの映画で、神の存在が議論されるのも当然で、不条理について神学者の卵は答えを神に求め、医者の卵は『己の無意味に立ち向かうのが現代人だ』と語る。

主人公の老人は神の存在について尋ねられ、神のしるしとして美しい詩を吟じる。

美しい詩や青春期の"野いちご"、幼い時の両親の思い出は、それが真実ではなく幻想的であっても、不条理な人生を慰める甘美であり、その甘美が穏やかな眠りに至らしめる。
なんとも巨匠っぽい映画でした。これが長編3作目ってのはすごいなぁ。
hibiya1975

hibiya1975の感想・評価

4.0
ベルイマン生誕100年記念上映。恵比寿ガーデンシネマ。

初めて観たのがもう三十年以上前。本当に久しぶりの鑑賞だったが結構細部について記憶が残っていた事に驚いた。今みても完成度の高い高いロードムービー。旅程よりも遥かに遠く長い時間軸を戻っては進んで行く。針の無い時計=死の描写が強烈な印象を残した。
morine

morineの感想・評価

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フカフカな椅子に座った途端、病的な眠気に襲われた、、、イーサクもわたくしも夢の中、、、
爺ちゃんの人生の縮図をそっと覗き見。

幻想的に描かれた大人の浪漫と哀愁だった。
ベルイマン、やはり良き◎
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