せっ

レジェンド&バタフライのせっのネタバレレビュー・内容・結末

レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます


政略結婚によって結ばれた信長と濃姫、2人の人生を描く話。

東映70周年記念で、キムタクに信長って日本人が好きな2人掛け合わせたら最高という安直な考えで作られたのでは?と曲がった姿勢で見に行ったら良い方向に期待を裏切ってくれた。信長と濃姫2人の愛の物語ではあるけど、従来の戦国武将を支える妻という描き方ではなく信長には絶対に必要だった人生のパートーナーとして描くの大正解。

そして、キムタクが何を演じてもキムタク問題を上手く利用してるなと思った。最初はいつもの通りキムタクな信長が、濃姫と距離ができるごとに徐々にキムタク感が抜けて「鳴かぬなら殺してしまえ」な信長になっていく。でも実はそうやって魔王を演じているのは信長にとっては苦痛、濃姫のカムバックによってまたいつものキムタクに戻る。

武将としては、あのキムタク感(いつも気を抜いてラフでいるからこその魅力)は男らしくないから、戦国時代を生き抜くことは無理。でも、戦国時代ってたぶん日本の歴史で1番マッチョイズムな世の中で有害な男らしさ溢れていた時代、だから冷血漢を演じる必然があるし、その苦しみを濃姫の存在が解いていくのは現代の時代に合っていて良かった。

明智光秀も信長に恨みがあったのではなく、信長の魔王的な側面に惚れ込んでいて普通の信長に戻ってしまうならこの手で殺してしまえというマッチョイズムに系統しすぎた哀れなメンヘラな描き方で新しいなと思った。演じてるのも宮沢氷魚さんで普段はどちらかというとマッチョな感じではないからこそ、説得力ある(ヒョロヒョロだからこそ男らしさに憧れを持つみたいな)。

それにしても、セットやばくない?どこにどれだけの時間をかけてこのセットを設置してるんだと思った。
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