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空気殺人~TOXIC~のShinMakitaのレビュー・感想・評価

空気殺人~TOXIC~(2022年製作の映画)
2.0

2011年、韓国…
大学病院に勤務する医師チョン・テフンは、ある日自分の幼い息子ミヌがERに運ばれたと聞いて愕然とする。水泳中に突然呼吸困難となり溺れたというのだ。診断は特発性間質性肺炎である。人工呼吸器を装着して何とか一命を取り留めたが、原因が分からずテフンには不安しかない。その夜、テフンの妻ギルジュが息子の着替えを取りに一旦帰宅するが、何故か病院に戻ってこなかった。
翌朝、ギルジュの妹ヨンジュがテフンの家を訪ねてみると、そこには冷たくなったギルジュの死体があった。大学病院に搬送されたギルジュの画像診断で肺線維症を認めて落ち込むテフン。気丈な妻だったが、実は何年も呼吸苦を感じていたに違いない…自分が早期発見をできなかったことを悔やむテフンだが、ヨンジュから「半年前、姉さんは人間ドックを受けて異常なしだった」と聞かされて…


「空気殺人」

以下、空気ネタバレ。

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病院勤務医テフンと、その義妹で型破りな検事ヨンジュのコンビが、謎の間質性肺炎・肺線維症を引き起こした大企業と対決するというストーリー。病気の原因は、家庭用加湿器に使う殺菌剤。この中に含まれるPHMGという化学物質が、気道経由で体内に入ると肺を損傷するんですな。しかし殺菌剤メーカーの大企業〈オーツー〉は、その事実を知りながら利益のために販売を続けます。そして裁判を起こしたテフンとヨンジュの前に立ちはだかるのです。

というわけで、医学ミステリ&法廷劇というジャンル映画的面白さを保証する作品。実話とはにわかに信じがたいけど、「韓国の話」となれば納得がいきますね。テフン役は、「殺人の追憶」のキム・サンギョン。悪玉側では、〈オーツー〉幹部ソ・ウシクが最高。わざわざ会長が他部署から引き抜いてきた腕利きのトラブルシューターらしいウシク。その外見からかなり憎たらしい存在なんだけど、クライマックスでこのウシクとテフンの関係がどうなるのか、が見どころ。果たして雨の夜、2人のタイマン勝負で殺しあうのか⁈ 乞うご期待^_^


個人的にはまぁまぁ楽しめたけど、雑なところやデフォルメ部分も多い作品。特に臨床医学の部分はめちゃくちゃで、ミヌが運ばれた時にテフンたちが「早く手術だ!」と息巻いたところでは椅子から転げそうになりました。酸素濃度下がって意識低下した患者に何の手術? 原因が肺か心臓か脳かもわからないのに、どこを手術するんだよっ‼︎

という感じで、いい出来な映画とは言い難いんですけど、韓国の闇を知るにはいい教材…とか嘲笑ってると、劇中で水俣病に言及され、日本人もドキッとします。よかったらぜひ。
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