MayuShimada

ブロンドのMayuShimadaのレビュー・感想・評価

ブロンド(2022年製作の映画)
3.5
監督の制作への姿勢などでいろいろと波紋を呼んでいますが、私はある意味自己言及的発想の映画だなぁと思って、良いような悪いような複雑な気持ち。

マリリンの生涯について私は詳しいわけではないんですけども、最後に「小説に基づく」と出てくるくらいなので、これは真実を描いたものではなくて、フィクションとして見るべき映画なんだろうと思ったんですよね。
で、それを踏まえたうえで、「ブロンドのセクシー美人」という世間からのイメージと「本当の自分」の間で苦しんでいたと推測できるマリリンの生涯を、やっぱり「ブロンドのセクシー美人」の生涯として描いてしまうあたりに、「本当の彼女の姿を見ようとしなかったのは理想の『マリリン・モンロー』を求めてた他でもない我々だよね?」っていう主張を感じたのよ、私は。

彼女の苦しみを生んだ一因は、彼女をスクリーンで見たいと思っていた我々だよね?
スクリーンの中の、ちょっと頭の足りなさそうな、貞操観念の薄そうな、でもめちゃくちゃ可愛いマリリンのイメージを、現実の世界で生きる彼女にまで押し付けてたのは、我々だよね?

みたいな声が聞こえた。
いや…日本語って難しい…

Twitterでもいろいろ呟いたけど、いまいち伝えられていない気がする、私の考えたことが。

極論言うとノーマの心の中がどんなだったのかはノーマ自身にしかわからないから、私たちはわかったふりしかできないんだよなぁという無力感もあった。
マリリン・モンローからこれ以上なにも搾取しないことが理想なら、マリリンのことは作品にしない、という手段しかないような気もするし。
それもそれでなぁ。
さみしいというかねぇ。彼女の生涯も含めて伝説化してるところあるじゃないですか。

そこだよなぁ、「伝説化してる」っていうのが扱いが難しくなるところだよなぁ、などと思いました。

賛否別れるのもわかる。
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