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灼熱の魂 デジタル・リマスター版のろのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

ああいうエピソードを大きな仕掛けとして使うこと自体がかなり悪趣味な映画だと思う。すごく真面目な顔で、いたましい悲劇ですみたいなテンションで来られても…。この悲劇をオチとして使うのは違くないか、という重さ。
母の人生を振り返る中で描かれる凄惨な場面についてすごく頭に残った。彼女の人生の描写を通してレバノン内戦の惨状を伝えていることと、ヴィルヌーヴの絵作り(あとは音楽もレディオヘッドだったんですね)で十分映画になってるから、謎はエッセンスとして機能するくらいのものでいい。重すぎる。手紙に込められた母の愛みたいなのもどうにも腑に落ちないし(フィクションで美しく描かないで…)、後味の悪さが強い。ヒューマン・ミステリーというよりホラー映画。心は震えるけど、感動じゃなくてひいちゃって震える。
画面作りがとても上手でラストまで引き込まれて観たのも事実。ヴィルヌーヴの映画は大きなスクリーンで観て没入、集中して観たいと思わせる。集中して観ても微妙なこともある。でもこれは戯曲が原作らしくいからやはりすばらしい脚色の力なのでしょう。演劇ではあの悲鳴のシーンはどんななんだろう。
ろ