somaddesign

Dr.コトー診療所のsomaddesignのレビュー・感想・評価

Dr.コトー診療所(2022年製作の映画)
4.0
20年前に無医村の島に赴任した医師・五島健助ことコトー先生。紆余曲折を経て今や島民にとってかけがえのない存在なった。看護師の星野彩佳とも結婚し、2人の間にはもうすぐ子どもが誕生する。過疎高齢化の波に苛まれながらも、島民の誰もがコトーの診療所があることに安心し、平穏な毎日を送っていたのだが……。
山田貴敏の同名漫画を原作に、2003年と2006年に連続ドラマとして放送された名作テレビドラマ「Dr.コトー診療所」の16年ぶりの続編となる劇場版。

:::::::::::

原作は行きつだった歯医者で途中まで既読。
2003年のドラマシリーズは全くの未見で、2006年の第二期シーズンだけ見てる。
まさか16年ぶりに再びDr.コトーを見られて嬉しい。
思えば吉岡秀隆って長期スパンの映像作品ばかり出ている不思議な俳優さんだ。実人生の変化や見た目の変化が、そのまま役の深みに変わる稀有なキャリアを積んでいる。

むしろ2010年を最後に長期休載中の原作に先駆けて、実写版を急いで完結させた感じ。メインキャストや監督・スタッフが元気なうちに作らなきゃ!…って空気もする。

ドラマシリーズの集大成にして完結編な感じ。今ある問題全てを解決するわけじゃないけど、人と人の繋がりや命の連鎖、形は変われど思いは続く…みたいな話で感動的。特に長年ドラマシリーズを見てきた人なら、キャスト陣の経年変化もまた味わい深くて久しぶりに故郷に帰った気分にもなれるのでわ。(渋谷の有名なモヤイ像の語源でもある「舫う(船を綱で繋ぎ留める)」「最合うor催合う(力を合わせる、助け合う、共同作業をする、共同で使用する)」を連想しながら観た)

新キャラ織田判斗医師と看護婦のナミちゃん。それぞれを演じた高橋海人と元乃木坂の生田絵梨花のフレッシュな存在感が光る。長期シリーズとあって登場人物のほとんどが経年変化で中年or老年になっちゃったので、若者の存在の貴重さが限界過疎地と同じく光る。特に織田医師の言い分は現実的で正論で、理想を掲げるコトー先生の対極としても機能してていい。(そーゆーことは後で言え!今は目の前を踏ん張れ!と思う瞬間もあったけど。凹んでねーで働けっつーのよ💢)
何よりコトー先生たちの思いを受け継ぐ存在でもあるので、紆余曲折ありつつもキチンと未来を託せる人物として描かれるので安心しちゃう(島民にいじめられたりしなそうだし)

履き物のショットの多様と描き分けもまた印象的。草履・スニーカー・革靴…とやたらと足元ショットが多い。ドラマシリーズを踏襲したカメラワークだろうけど、履き物の違いで履いてる人の年齢や生活・他人との関わり方を浮かび上がらせる演出がおもろい。トランジションのたびに、被写体の外から短いパンで切り替わるのもテレビドラマっぽい切り替えでダサ……テレビシリーズそのままの演出で懐かしかった。




余談)
エピローグが白いソフトフォーカスで、なんとも都合の良すぎる結末なのでネット上では「コトー先生と彩佳のどちらかが亡くなって、死の淵で希望的な未来を見ている説」あった。真贋はさておき、走馬灯説が出てもおかしくないレベルの結末なのは間違いない。

タケヒロを演じていた富岡涼。2006年のドラマ第二期を最後に芸能界を引退していたが、監督のラブコールに応えて今作のためだけに俳優復帰。15キロもの減量をして撮影に挑んだとか。


2本目
somaddesign

somaddesign