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エゴイストのtokoのネタバレレビュー・内容・結末

エゴイスト(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

なかなか感想が書けませんでした。

エゴイスト
最後までこの題名の意味を考えてしまったから。

浩輔と龍太。
浩輔…ゲイである事に傷ついた学生時代。
ブランド服という鎧がその傷を隠してくれる。
ゲイ仲間との飲み会の浩輔はよく笑う。自分をさらけ出せる場所。
都会の中では自由に生きてる様に見えながら重い鎧は付けたまま。

龍太…病弱の母を支える為に高校を中退して働いている。
龍太は自分の苦労や悩みを打ち明ける友達も作れずに爽やかな笑顔の仮面を被って生きてきたのか…

2人の出会いが始まる。

爽やかな青年龍太にひかれる浩輔だが、自分の本心を出せずにいる。
惹かれ合う2人。
浩輔の優しさに自分の仮面が苦しくなる龍太。
自分の本当の姿を告白し別れを告げる。

龍太の嘘に苦しむが、1人で抱えて来た龍太の苦しみを理解し一緒に闘おうと促す浩輔の人間としての心の広さを感じました。

映画は浩輔寄りで描かれているので龍太の本当の気持ちは分からないままです。
男と女なら結婚という名目でお互いも家族も助け合えるのにゲイ同士だと理解されない現実。

突然の龍太の死に愛を失った絶望が浩輔を襲います。
やっと見つけた愛だったのに…龍太を支える事で生き甲斐を見つけたのに…

龍太の代わりに龍太の母の世話をする浩輔。
もし夫婦なら?
相手の親の世話をするのは当たり前だと思われるし違和感は抱かないのに、恋人の親というだけで受け入れてもらえない辛さ。

浩輔と龍太の母親の会話がドキュメンタリーを見てる様なリアリティが有りました。
心を探り合う様なぎこちない2人が、時間と共に笑い合い食事をするシーンに胸が熱くなりました。

浩輔は本当に真っ直ぐな人間だと思う。
男とか女とかゲイとかの前に人の哀しみや苦しみを想像出来る人なんだろうな。
年老いた父親を悲しませたく無いからゲイだと告白しないのも…

エゴイスト
浩輔がお金で龍太を助けたのはエゴ?
浩輔の援助を受けて母親と暮らす龍太はエゴ?
息子を亡くして息子のパートナーの世話になるのはエゴ?

愛とエゴの違いは?
自分の愛し方がエゴだと言うなら、浩輔は愛されるより愛したいエゴイスト。
龍太は愛から安らぎを求めたエゴイスト。

そして、映画を見ただけで分かった様な事を書いてる私もエゴイスト。
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