りょう

エゴイストのりょうのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
4.0
 有名な場面写真で浩輔が龍太の髪を乾かしているドライヤーは、とてもリーズナブルな価格ですが、Vidal Sassoonの逸品です。もう5年くらい愛用していますが、そろそろ販売終了になりそうで残念です。
 いきなりの余談はさておき、ありがちな男性カップルの恋愛映画だと思っていたら、中盤の展開が衝撃的で、後半の物語で大化けした作品です。その後半になるまでタイトルの意味がわかりません。龍太の母親が「愛なんて…相手が感じれば、それが愛」みたいなことを言っていましたが、妙に納得させられました。そこから“エゴイスト”という概念につなげる描写も秀逸です。
 そもそも阿川佐和子さんって、職業は俳優さんでしたっけ。なんでこんなナチュラルな演技をプロの俳優たちと一緒にできたのでしょうか。全編にわたって演出がドキュメンタリータッチですが、それがわざとらしくないし、どこまで脚色されたセリフかわかりませんが、登場人物の会話がとても日常的で、それぞれのキャラが一瞬でわかるような雰囲気です。
 かなり独特な撮影のアングルで、登場人物に寄りまくった映像は、とりわけ後半の浩輔などには心情が引っぱられてしまいます。とても効果的な演出でした。
 東京で生活していても、女性カップルに出会うことはあっても、男性カップルが歩いているところやゲイ仲間の会食なんて、まったく目撃することがありません。同性婚で「社会が変わってしまう」と発言した首相がいます。このままでは、同性カップルが未来を展望できない社会のまま、日本は世界の潮流からとり残されてしまうでしょう。
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