トール鉄

雷撃隊出動のトール鉄のレビュー・感想・評価

雷撃隊出動(1944年製作の映画)
4.0
佐世保鎮守府所属の現役提督です。

戦時中の作品なのでプロパガンダ映画かと思いきや、そんなことも無く、
前線の飛行機の不足や、国力で劣る日本がアメリカの物量戦に押される様などを淡々と描いているのがとても印象的。

また、南方の占領地での現地人の日本人に対する好意的な態度なども見られ、当時の世相を知る上でも非常に面白かったです。

戦後のエンターテイメント性の強い映画と比較してしまうと、淡々とした描写が多く、退屈に感じてしまうかもしれませんが、どことなく悲壮感を匂わせるこの作風は、戦争終盤の厳しい状況を肌で感じさせ非常に、情緒的な趣に仕上げています。

そして、ここからは提督目線での話。

雷撃機をテーマとしており、戦時中の作品であるため、艦これで実装された数々の名機が実機で登場しています!
零戦はもちろんのこと、九七艦攻、一式陸攻、天山艦攻。
艦これ未実装であれば、川西航空の名機にして、二式大艇の姉にあたる九七式飛行艇。
これら全てが実機!
大本営協力の元、制作されただけはあります。

しかも瑞鶴の飛行甲板からの発艦シーンまでも!!
(調べると、レイテ沖海戦の1ヶ月前の訓練時の映像を使用しているとか)
在りし日の第一航空戦隊の姿を目にすることが出来るのです。

また円谷英二による特撮技術には目を瞠るものがあります。
特に夜戦のシーンは印象的で、雷撃機が敵艦に肉薄する際の探照灯の照射が素晴らしい!
70年以上前にすでにこの映像技術が完成していたという事実に驚きを隠せませんでした。

提督ならば、艦これ劇場版よりもこっちを見るべきです。
トール鉄

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