Reno

ハンガー・ゲーム0のRenoのネタバレレビュー・内容・結末

ハンガー・ゲーム0(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

オリジナルの四部作が大好きだったから、今作も楽しみにしていて、結果期待通りの重厚で中身の詰まった素晴らしい作品でした✨

まさかの3パート構成で、これもまた作品のオシャレで硬派な作風を強調していたよね。見ている最中は、これどこまで進むの?どんなところに辿り着くの?と良い意味で向こうのペースに飲み込まれた感じ。まだ先を見せてくれるの?まだ先があるの?と、嬉しい気持ちになった。

今年最後の映画館で観る映画として完璧な期待応えてくれました!!!インディーズ映画のようなトーンも完璧!!長くてもその価値がある!!というか長いからこその良さがある映画でした!!

簡単に線引きできない人間の性善と性悪のグラデーションが見事なキャラクター造形によって表現された複雑で緊張感に満ちた映画、ぜひ多くの人に見てほしいですね


以下最後にキャラごとコメント!!

★コリオレーナス・スノー★
トム・ブライスかっこいい✨
今作の主人公としてヒロイックで他者への共感力がある面も見せつつ、根底におそらく(トキシックだったであろう)亡き父への憧れや、没落貴族としてのハングリー精神、生き抜くための冷酷さ、などダークな面も垣間見えて信頼しきれない緊張感走る若きコリオレーナスを静かに見事に表現していて素晴らしい演技でした!!

それにしてもスノー大統領にこんなにも盛り沢山な過去があったなんてね。

★ルーシー・グレイ・ベアード★
ディズニー実写「白雪姫」でおなじみ新星レイチェル・ゼグラーが今回も大作に主演!しかも今回も歌いまくる役!!

さすがYouTubeのシンガーから俳優にキャリアアップしただけあってすごいですね!!コリオレーナスを主にした映画なので、ほとんどコリオレーナス視点ですが、もう一人の主人公としてこのルーシーグレイも素晴らしかったです✨

当然の如く、64年後に英雄となるカットニスを彷彿とさせる善良で勇敢なヒーローらしさ、反骨精神を感じさせつつ、映画のラストスパートでは真意が読みにくい緊張感あるシーンに突入し、見終わった今でもどう捉えれば良いのか分かりません、、 一体あのラストスパートはどう捉えれば良いの??原作本読めば文字だしもう少し的確に理解できるのかな??

ルーシーグレイの歌も当然良かったけど、オリヴィア・ロドリゴによるエンドソング Can't Catch Me Now もすごく良かった✨オリジナルの四部作はテイラー・スウィフトやエド・シーラン、ロードなどがやっていて、やっぱりハンガーゲームはその時の若手シンガーが合うよね!!オリヴィアもぴったり✨

★ヴォラムニア・ゴール★
ゲームメーカーでありマッドサイエンティストのゴール博士を貫禄たっぷりに開演してくれたのは「殺人を無罪にする方法」の主演やDC映画のアマンダ・ウォラー役などでおなじみヴァイオラ・デイヴィス!!

私は中高生の時に「殺人を無罪にする方法」を見て以来、ずっとこの人こそ実写アースラ役に相応しい!!絶対やってほしいと願っていましたが、結局ディズニーが選んだのはメリッサ・マッカーシーで残念に思っていました。それが今回ハンガーゲームで個性抜群で邪悪なヴィランのゴール博士を演じていてまさにこれじゃん!!!となり大盛り上がりでした!!!笑笑 私の無念が少し晴らされました!!笑 (逆にこれを見てやっぱりヴァイオラはアースラに適役だったんだよと確信して悔しさも一層感じたけど笑 完全に私が見たかったアースラがここにいました!!)

★キャスカ・ハイボトム★
ゲームオブスローンズのティリオン役等で確固たる地位を築いたピーター・ディンクレイジが、ゲームの生みの親という今回も葛藤を抱えた独特なキャラクターを味わい深く演じてくれていました!!

パネムの教育機関に仕える者であり、一見、ゴール博士と同じように意地悪な体制側の人間に見えもするけど、どこかに独裁国家への反発心、人間らしい感覚があるようにも思えたキャスカ。そこは、一見、ルーシーグレイや家族への思いやりから良き心を持った好青年に見えるけれど、根底には淡々と自分のために厳しい現実を冷たさを持って生き抜いていくコリオレーナスとは対照的かなと。

そしてその感覚は正しく、映画のラストでは、ほんの冗談からゲームのアイディアを世に放ってしまい、それがこの先の未来も含めて社会を蝕むことへ罪悪感と後悔を抱えていたことが明確となり、コリオレーナスに辛辣で厳しかった彼の裏側にあった善性が光っていました。さすが名優ピーターだからこそのリアルな演技。映画を見る前の想像有情に深みがあって良いキャラでしたね。

本当、ハンガーゲームがこんな風に生まれていたなんてね。しかも、キャスカのちょっとした学生時代のアイディアを当時の課題パートナーのコリオレーナスの父親が勝手に提出して実現したという経緯。すなわちハンガーゲームはスノーによって根付かされた負の遺産であり、後に65年後スノーの息子=コリオレーナスの死によって終わりを迎えるという円環。美しく悲しさもある帰結。すごいな〜 こんなところにまでドラマを潜ませるとは、、

★タイガレス・スノー★
ファッションデザイナーになるタイガレスはコリオレーナスの年上のいとこで幼い頃からおばあちゃんと3人で歩んできた心優しい人物!

演じたのは、若手スターを数多く輩出したヒットドラマ「ユーフォリア EUPHORIA」のジュールス役でおなじみハンター・シェイファー✨同じトランス女性として、ハンターがこんな大作で活躍するのはとっても嬉しい!!!

しかもハンター自身、小さい頃にオリジナルの公開当時、ハロウィンでパネムの市民のコスプレをしていた大ファンだということで余計感激だよね✨

キャラ的にオシャレで華やかな衣装が素敵だった!!ヴォラムニアもダークでファッショナブルだったけど、こっちはすごく謙虚な華やかさ!!没落貴族で家も立ち退き勧告されてるけど、おばあちゃん含めみんな身なりはしっかりしてて、まあまあの暮らしは維持できてるのかな??笑

60年後のパネムの上流階級の奇抜で華やかなファッションともまた違う感じ。街並みもまだまだ戦争の爪痕が残ったダーティーでラスティーな感じで、だけど遠くにはクレーンなどで高層ビルが建設途中なのがたくさん見えて、これから数十年に渡りコリオレーナスとともにパネムはオリジナルの映画でお馴染みの美しく華やかで近未来的な力強い姿に成り上がっていくんだろうだと想像できるイメージ。
Reno

Reno