すきま

アメリカン・エピック エピソード3 多民族音楽国家アメリカのすきまのレビュー・感想・評価

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数日かけてオーディションに出掛けてレコードを録音できても、自分の家にプレーヤーはなく聴けない人が多かった時代だったこと、出身地の今は誰も住んでいない集落の様子など。
雇い主の家に行って聴いたミシシッピ・ジョン・ハートのエピソード、やや下世話な歌詞だったようだけれど、雇い主の娘が最高だったと思い出し語ったところなど、愉快だった。
ホピ族の、踊りが禁止されないように、許可と引き換えにずっと守っていた秘儀を公開し録音もしたこと、それを知った現代の子孫の悲しみは、今も日本の地方で起きていることと近かった。わたしはマジョリティ側の立場だと思うので、本当にその悲しみを知ることはできないけれど。
スティールギターの発明と発展に身を捧げたハワイのジョセフ・ケククのことも、初めて知った。
知らなくても音楽は楽しめるけど、知ると別の感動が加わる。
1~3を見ていて、自分のレコードを聴かずに終わったり、一時有名になって身を持ち崩したり、音楽に身を捧げた結果家庭崩壊したり、逆に自立した女性になったり、歌で民族の境遇を追体験し傷ついたり、色々な人生があったけれど、どれも録音して残したような自分の音楽を作れたという点は共通していて、素晴らしい人生だと思った。
自分も評価など気にせず、ただ何かをひとつ残したいようなものを作って生きればいいんだと。
権利関係で日本語版DVDなどは出ないし、しばらく上映もないだろうということだけど、筋はわかったのでできれば英語版を入手して見返したい。
ルーツ・ミュージックのドキュメンタリーだけど、マイノリティーからみたアメリカ近代史、マイノリティの文化と都市の文化の交わり、多くの人生についての映画でもあった。
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