今作はロッキー4のディレクターズカット版になる。今更80年代の作品を鑑賞することに抵抗がないと言えば嘘になるが、直撃世代なのであの劇伴を聞くだけで、気持ちが昂ってくるものがあるのも事実だ。それが劇場ならなおさらのこと。主な改変箇所はネットに任せるとして、アポロの調印式でのトラッシュトークとド派手な入場パフォーマンス、これが残っていて胸をなでおろした。アポロのプロ意識の高さ、ショーマンシップの発露は、地味で朴訥なロッキーとの対比でもある。同様に葬儀での弔辞の変化も見逃せない。オリジナル版ではロッキーが淡々と悟ったかのように故人を振り返るのだが、今作では嗚咽を上げながら感謝の気持ちを述べる。ロッキーのキャラ的にはこちらのほうが正しいし、ドラゴ戦への機運が高まらないまま調印式に突入するオリジナル版の方が不自然だった。「人は変わることができる」とリング上で叫ぶロッキー。それから35年後、「ポーリーのロボットは嫌いになった」とスタローンがボヤいているとは思わなかった…