このレビューはネタバレを含みます
またドラえもん映画はちょっと盛り返して来たかな?と思わせた。
前年に予告で雲の王国か翼の勇者たちのリメイクかなと思ったけどオリジナルだったね。
“ユートピア”に行けば自分の無能が改善され差別無く生きていける、と思ったのび太はユートピアを探そうと決意。
そこへ現れた三日月型の空飛ぶ世界。ドラえもんの道具でたどり着きそこで生活することになる。
“パラダピア”は三賢人に導かれ住民全員が健全に平和に暮らす。そして外からの“悪者”は入り込めないように警備もシッカリしている。
この「悪者」ってキーワードが出た所であからさまに怪しいとは思うやね。昨今ではステレオタイプな悪者は、映画のフォーマットとしてあり得ないからね。案の定コレはミスリードを狙ったブラフだった。ココをもう少し上手く騙して欲しかったという思いもあるが、まぁ子供が見るにはちょうど良いのかな?
そしてジャイアン・スネ夫・静香ちゃんが良い子に洗脳されてしまう。こわ〜。
洗脳を解くのは友情パワーだ。ベタな展開だがそれが良い。何よりのび太とドラえもんの関係が明確に“友達”と定義されているのが水田ドラのアイデンティティだ。そこを徹底しているのは好感が持てる。
そして感情の無い優等生よりも、欠点だらけでも各々の個性を尊重するという、昨今の多様性の重要性を押す内容だとわかる。そういえば秘密道具に“四次元リサイクル袋”ってのもありSDGsという世相を反映させたネタもあった。移り変わる現代の倫理観に過敏に対応しているのがわかるね。
気になると言えば、のび太には洗脳が通用しなかった所に、特異体質以外の理由付けが特に無かったこと。ここはもう少し詰めて欲しかったな。
もう一つ。やはりラストでゲストキャラのソーニャが自己犠牲を選んでしまう点。これもちょっと気になったな。メモリーがあって復活できたとはいえ、あんなに世相に敏感なのにココだけが時代に即していない気がする。
そうはいってもタイムマシンを利用した序盤のネタ回収は良く出来た脚本だった。
飛行船の名前が“タイムツエッペリンってのも良いセンス。
来年の予告ではねじまきシティかロボットキングダムを想起させたが、これもオリジナルになるのかな〜?