叡福寺清子

そばかすの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

そばかす(2022年製作の映画)
3.8
口コミ読んで視聴したケイコにはピンと来ませんでしたが,予告を観て「これ観る」ってなった本作は良き塩梅でしたので,他の分野はともかく映画に関する私の勘の良さは自慢しても良いんじゃないでしょうか.

で,本作.恋愛感情わからんし性欲もない蘇畑さんが日々感じるのは息苦しさ.そんな蘇畑さんの周りにいるのは,仕事最優先恋愛後回し男性,同級生のゲイの保育士,同じく同級生の元AV女優,そして自分同様に恋愛感情皆無故に極端過ぎるサバサバ系男子.ゲイ・バレで職場追われたり,AV女優は政治家の父親の価値観押しつけに反発したりで,やっぱり息苦しい生き方をしておりました.

そんな蘇畑さんは勤務している保育園でデジタル紙芝居を披露することに.題材は自身を強く投影したシンデレラ.つまり国中の女性が王子様との結婚を目指していることに冷めた視線を送り,王子様に見初められても結婚しませんと宣言するシンデレラ.視察に来ていた政治家さんは苦言を呈します.『多様性は理解しますが,子供達にはまず普通の価値観を学習させてから,多様性を学ばせるべきでは』と.でも違いますよね.その普通の価値観自体を受け入れられないからマイノリティは苦しんでいるわけで,今まで散々っぱら普通を押しつけておいて,ある日突然『ハイ!じゃあ今日から貴方たち少数派にも配慮します』って言われても,誰も信じないでしょう.立場上何も言えなかった蘇畑さんの代わりに,娘である元AV女優が啖呵を切ってくれますが,でもちょっと何言ってんのかわかんなかったのは頬笑ましかったです.

トムクルーズが逃げる為に走ってるから宇宙戦争が好きだと言っていた蘇畑さんが,とりあえず駆け出す姿が印象的だったラストシーン.ゴクとマゴク(ゴーバスターズだからね!)級に良いものでございました.ただ、トム・クルーズの代表作として宇宙戦争を掲げるのはどうかと思いますよ.