【この国では、女は猪みたいなもの】
Netflixのトルコ産新作。名誉殺人とミソジニーが背骨。表向きはそこからのサバイバルアクション。ただただドライな、逃亡劇と殺し合いでした。…ドライに驚きました。日本じゃ、ジャンル分けできる場所がない映画でありましょう。
不倫現場に踏み込まれた、栄養不良のユマ・サーマンみたいなヒロイン。逃亡をはかるが、警察官である夫は銃を持っており…。
女には不倫していた、という負い目があり、観客へのサジェスチョンともなっていますが…まずは話し合いで、とか、まず弁護士を通して、とか言っても、男には通用しません。
女にとっては、逃げるか殺られるか、でなければ殺るか、の世界です。
他人事だから言えることでもありますが、どっちもどっち。似たような境涯同士だからこんな修羅場になってるわけで、マジメに付き合う気にはなれません。
とはいえ、女はほっとけば殺されるワケなので、逆襲に転じます。トルコの女性って、これほど銃の扱いに長けているの?と驚いたりもしますが、狩られる側が狩る側にまわり優勢になったりもして、ドライな驚きは最後まで持続し、殺伐とした話だがまぁ付き合えました。
投げっぱなしのエンディングですが、はじめにコレを言いたかったのだろうなと。何をどうしようが、女性は追われて狩られる獲物でしか無い。物語を始める前から決まっている。
極端にあぶり出し過ぎた一面でしょうが、こう感じている人が多いから、その反映として、こういう映画が生まれてくるのだと思います。
個人的には、本筋より細部で怖さを感じました。女性が、殺されそうな女性に放つ台詞「結婚は我慢」。あと、ヒロインがバスで乗車鬼畜拒否に遭うエピソードに、ゾッとしました。
<2022.7.11記>