このレビューはネタバレを含みます
「3人に1人」
3人に1人の狭き門をくぐって、弁護士として活躍する若き女性を描く。
法廷では、提示される証拠が全て。
論理的に判断し、決断を下す。
それが全てで、それが真実。
そんな世界で生きている彼女を襲う悲劇。
自分が被害者となった時、信じていたこと全てが理不尽で、被害者(女性)にとってあまりにも不利な現状に気づく。
弁護士だからこそ、自分の立場がどれだけ不安定で力を持たないか、怒りとどうしようもなく打つ手がないと葛藤する。
そして、「782日」
警察に行ってから、裁判になるまでかかった日にち。
782日もの間、尊厳と私生活を崩され、戦ってきた。
そして、法廷での最後のあの言葉。
「3人に1人の割合でレイプは起きている。
しかし、今の法律では立証するのが難しい。
なぜか。
それは、ほかの事件とは違い、理論立てて話すことが難しいから。混乱した中で起こったことを冷静に話すことが出来るはずがない。
左をみて、右をみて。
これから起こりうる悲劇を食い止めるためにはこの状況を変えるしかない。
やるしかない。」
被害者になったからこそ見える世界の矛盾に声を上げる姿は、最初の彼女とは明らかに違う顔つきをしてた。
“3人に1人"
この数字が作品の前半と後半でこんなにも意味が違ってくるとは思ってもなかった。
今この作品が観れること心から感謝したい。
男女問わず、観れるうちに観てほしい。
そして、こんな事を繰り返さないよう子供たちのために、今出来ることから始めたい。
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初めて知ったこと
・レイプとは、赤の他人同士が同意もなしに起こった場合に当てはまることだと思っていた。
でも、1回セックスした関係でも、たとえ結婚したとしても同意がない状態で行った場合は「犯罪=レイプ」と言える。
この事を知ったとき、過去を振り返って思いあたる場面が目に浮かんできて、作品を見ながらボロボロと涙が止まらなかった。
私は怒っていいんだ。声を上げていいんだと肯定された気持ちになった。