ぶてぃ

はだかのゆめのぶてぃのレビュー・感想・評価

はだかのゆめ(2022年製作の映画)
-
ファーストショット。闇夜を横切る何か。次に突如あらわれる電車の光と突然の切断で心を鷲掴みにされる。

私が誰かに思いを馳せるときに、記憶のなかに浮かぶ相手を見つめる自分はまるでノロのようになる。記憶のなかで生き続ける人を現在の地点から見つめようとするとき、相手をただ見ることしかできない自分は幽霊のような存在になってしまう。反転した世界を描いてみることで、生者と死者の隔てている距離をほんのいっとき、なくしてしまうこともできるのかもしれない、と思った。

一見関連性のないものが繋ぎ合わさっていくが、その土地と、そこに生きるもの生きたものが共鳴している。
ごつごつした岩、ススキが生い茂る大地、緑の潤い、台風、吹きつける雨の勢い、ゆったりと流れる川。
土地に根ざしたじいの生命力が画面に漲っていて、そのエネルギーとリアリティに圧倒された。