ベトナム戦争下のベトナムで従軍している友人の為に“ただ”ビールを届けに行った男の実話を基に描いたApple＋オリジナル作品
「メリーに首ったけ」「グリーン・ブック」で知られるピーター・ファレリーの最新作であり、ザック・エフロンやラッセル・クロウ、ビル・マーレイ等の俳優陣も魅力的な一作(マーレイは最近問題が発覚したけど)
恐らく脚色は多分にされていると思うが、友人にビールを届ける為だけに戦地へ行ったという明確な事実には驚愕させられる
物語はとても映画的なものになっており、戦場を経験することによる主人公の変化の丁寧な描写や彼の持ち前の明るいキャラクターのお陰で全体通して非常に観易い作品に仕上がっていた
戦場を舞台にした戦争映画独特の重苦しさを出来るだけ排除しつつ、戦争の虚しさや友情の尊さを真摯に描いたドラマ性のある脚本は一見の価値あり
道中で出会う多くの人々との親交には涙させられるが、そういった場面や展開も制作者側からの鑑賞者を泣かせてやろうという卑しい思惑が見えないので不快感のない心温まるものになっている
ただ、実話を基にしているというフィルターを通して観ると脚色上のやや強引な展開が目に付くので、「これはノンフィクションだ」ではなく「あくまで実話を基にしている映画」という感覚で観た方がいいと思う
あと、主人公の能天気さをどこまで許せるかが今作を楽しめるかどうかの鍵になっているので、主人公の言動に対するある程度の寛容さは要求される
そして、やはり特に惜しいことは今作がApple＋配信作ということで多くの人の目に触れられていないこと
Apple＋が観れる環境の方には是非とも観ていただきたいオススメの一作(面白いドラマもあるので1月程入会してみるのはアリかと)
