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SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのMUのレビュー・感想・評価

3.8
<飛行機で観た映画①>

この映画はアメリカの映画業界で実際に起こり、MeToo運動へとつながった性加害問題をニューヨークタイムズの女性記者の2人によって告発記事の公開までの過程を描いた物語だった。

映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインは自身の業界内での特権的な地位を利用して、映画業界で働く若い女性や女優に対して性行為を強要する非道な行いで、被害者の女性たちは事実を口外すると業界から干され自分のキャリアが終わってしまうことを恐れたり、口止め料としての示談金によって沈黙するしかなかった。

シリアスであり、不愉快な内容ではある一方で、記事をもみ消そうとるワインスタインに対して一歩も引かない女性記者たちの上司の姿勢や女性記者たちの真実を明らかにするために懸命に働く姿に感銘を受けた。

インターネット上には真偽の定かでない情報が溢れている中で、ファクトチェックを何よりも大切にしているニューヨークタイムズのジャーナリストとしてのプライドを感じた。翻って今の日本の報道を見ていると、政権や権力に屈しているばかりで、ジャーナリズムが機能しているとは言えず、本当に情け無い。

蛇足になるが、映画を観る時はなるべく劇場に足を運んだり、家では大きなモニターと高性能なヘッドフォンで観ることに慣れてしまったので、飛行機の中の小さなモニターや安っぽいヘッドフォンで映画を鑑賞するのが苦痛になってきた。移動中の楽しみが読書ぐらいしかなくなってしまい少し寂しい。
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