sakura

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのsakuraのレビュー・感想・評価

5.0
1月と3月に映画館で。
その後原作を読んで、8月に配信で。

ラストのジョディにかかってくる電話のシーン、初めて観たときも涙が零れたけれど、2回目以降展開がわかっていてもやっぱり感極まってしまう。
あなたに起きた事実は変えられない、けれど、の「けれど」が通じたその瞬間に。

人の名前がめちゃくちゃ出てくるので、#metooをリアルタイムでかなり追っていた人でもない限り、原作読んでいた方が解像度が圧倒的に高まると思う。
ただ原作は本当にげんなりするほどえぐいので、かなり体力と気力を使う。

カフェでナンパしてくる男にブチ切れるキャリー・マリガン、論理が破綻している言い訳をキャンキャンと吠えにくる弁護士たちをものすごい目で見るキャリー・マリガン、被害者の夫と対峙するときのゾーイ・カザン、娘が「レイプ」という言葉を使ったときのゾーイ・カザン。
忘れらないシーンがたくさんある。

映画史における汚点ともいえるこの事件を、映画という形にすることの意義を思うとこんなにすばらしい作品はほかにない。

と思うと、これが掠りもしなかったアカデミー賞への信頼(?)はガタ落ちというか、結局これを称賛するには都合の悪い現実が未だ蔓延っているのだろうなと軽蔑せずにはいられない
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