ChanChee

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのChanCheeのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

展開は割と淡々としているのだが、劇中で描かれる女性達のごく日常的な営みの様子が、セクハラと向き合う姿とのコントラストを強くして、苦悩がより伝わってきた。
最初のシーンに出てくる女性の、希望に満ちた顔と絶望して走り逃げる顔の対比は、特にインパクトがあった。
また直接的な性被害のシーンを描かないことにより、ワインスタイン個人の性犯罪だけにフォーカスすることがなく、セクハラを助長する社会全体の意識とシステムの在り方に対しての問題提起になっている。

しれっと実際の被害者が出演したり、ビッグネームのグウィネスの名前が度々出てきたり、実際の音声が使われたり、そもそもブラピ設立の制作会社の作品であること(ワインスタインからグウィネスを守る行動をブラピがした事をグウィネスが認めている)だったりと、レイプシーンなどの衝撃的な画がなくとも、地味に生々しく、センセーショナルな作品。

私はフェミニズム的な意識は強い方ではないし、こういった事件を自分事として捉えきれていなかったのだが、本作を鑑賞して、自分が感じている諦めや無自覚な被害と加害に気付かされた。
またそう感じると共に、実際自分なら声をあげるのは難しいだろうなと思ったあたり、根深い問題であることも再認識。
映画ファンとしては、ミラマックスの過去作品とそこに影響された自分の感性や心も穢れたような気分にもなり、やはり総じてセンセーショナル。
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