まや

ペパーミント・キャンディー 4Kレストアのまやのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

監督特集にて。
こちらの作品はとても好きだったし、物語が過去に遡っていくという展開が人生は戻れないことをより強く思わされて、人生そのものとその人の歴史を感じられてとても良かった。

スーツを着た主人公が、橋の上で大声で叫ぶ「戻りたい」と。ここから物語は始まる。

いくつかのチャプターに分かれていて、その前に電車から見える逆行していく景色が映し出される。これで過去に戻っていくという演出がとても映えているなと思った。

また、タイトルにもなっているペパーミントキャンディーがとてもアクセントになっていて、主人公の心にずっと存在していた彼女をどれだけ大切に思っていたのか伝わる。だが、主人公が抱える罪悪感からか、歳を重ねるごとにどんどんその幸せな瞬間から遠のいていき、崩壊していく感じがとても辛かった。

人生というか時間そのものは一方向にしか進めない。どんなに願っても過去には戻ることはできないのだということを強く感じさせられて、この今の瞬間を大切に生きなければと当たり前だけど忘れがちなことを再提示してくれる作品だった。

最初と最後で、同じ場所で終わり、電車の音で終わるのも時間が戻っていく感じがして良かった。

最後まで観終わった後、主人公が病室を訪ねて、ペパーミントキャンディーを持っていき話しかけ、彼女の涙が流れるシーンを自然と思い出して涙が出てきた。
まや

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