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スピリッツ・オブ・ジ・エアのksのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

約30年前の作品だけど、どこかにあってどこにもない世界の話なので古さは全く気にならない。
赤い砂漠と突き抜ける青空の強力なコントラストにまずやられる。
希望が現実となるかわりに引き受けなければならない絶望の深さを思うと言葉にならないな。

砂漠の一軒家に2人きりで暮らす兄妹。妹は兄を「狂人だ」と罵るが、兄は妹の感情を無視し続けている。
狂いの軸をどこに置くかで、それぞれの人物の見え方が変わるだろう。

兄と妹、どちらかにしか感情移入できないならあまり悩まなくて済むけど、どちらの気持ちや立場にも共感できる部分があるので厄介なんだ……エンドにたどり着く頃には心の中がぐちゃぐちゃに。
分かりやすい正しさで終わらない話は残る。

フェリックスの「昔、人は死んだら雲になるんだと思っていた」という台詞が一番頭に残っている。
手作り飛行機で空を飛ぶ夢が大きくなりすぎて、もはや彼にとっての地上は空。そのくらい同化しているのだと思う。
「昔」の話なら、今はもうそう思っていないのだろうが……解き放たれても雲になることはないとフェリックスが気づいたのはいつの事なんだろうか。やっぱり飛行に失敗した時かな。

あとエンドロールのスペシャルサンクスパートにCampbellの名前があがってて「ですよね〜」と思った笑。
長期保存といえば缶詰食料。地球から人類の半分が居なくなって×年的世界観の話を今作るとしたら、保存食はどうだろう、缶詰以外が主流になる……?
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