あぶ

とべない風船のあぶのネタバレレビュー・内容・結末

とべない風船(2022年製作の映画)
1.1

このレビューはネタバレを含みます

西日本豪雨や家族との死別で人の生死をテーマにしているのに、人工呼吸のシーンをコメディリリーフとして、しかもホモフォビックに組み込んであるのを見て悲しくなった。
脚本が全体的に破綻しているし、脚本として機能していなかった。個人商店に入って三浦透子氏が水を買うシーンで「水〜」と言ったり、小林薫氏が煮物を焦がすシーンも「焦げてる焦げてる」とラジオドラマなのか?というくらい全部説明してくれる。説明過多なのに必要な情報は入ってこず、土砂災害に被災した主人公家族が何故そうなってしまったのかは、あえて曖昧にしているのかもしれないが、クライマックスで土砂降りの雨の中心情を吐露するシーンは大事なシーンのはずだがかなり伝わりにくく不親切だと思った。
登場人物の描かれ方も酷く、舞台装置のコメディリリーフとして動く歯車みたいなただただ不快な登場人物や、デクと呼ばれ差別的な描かれ方をされる登場人物、島の暖かい人の優しさ(笑)を描きたいはずなのに、誰ひとり人間らしさがなくで不気味な島になっていた。
同じ広島ロケで三浦透子氏が出演しているドライブ・マイ・カーと比較にならないくらいカメラワークが酷い、島の美しさを〜と監督が舞台挨拶で話していたが全く伝わらなかった。
三浦透子氏が「この海好きなんです」と言い浜辺に降りたったシーンでは背景を全てボカして撮影していて、本当に美しいと感じたのかと甚だ疑問だった。

ニワトリ☆フェニックスを見て感じた嫌悪感を年の暮れにまた味わうことになって本当に気分が悪い、地方映画の悪い部分が詰まっていた。特に広島は孤狼の血やドライブ・マイ・カーと名作が続いていただけにいたたまれない気持ち。
あぶ

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